北欧の “ヒュッゲ” の服、ノルディスクの新発想ウエアでニューノーマル生活も心楽しくなる
いま一般的によく売れている服とは、どのようなものだろうか。定番的なデイリーウエア、もしくは機能的なアウトドアウエアの人気が高まっているようだ。その一方で、気分が高揚するデザイン性の強い服も支持されている。こうした志向性の根底にあるのが、ステイホームが続く毎日である。人と顔を合わせて自己アピールする機会が減ったから、お堅い仕事着も流行の服も必要なくなり、心と身体に快適な服を着る。公園や郊外など屋外で過ごす時間が増えると、アウトドアウエアの出番が増える。その一方で自由を渇望する人は、クリエイティブな服を必要とする。コロナ禍での生活が私たちのファッションマインドに及ぼした影響は計り知れない。
今回紹介するのは実用的で長く着続けられ、しかもデザインが個性的な、いまほしい服の要素が詰まったコレクションである。テント愛好家にはよく知られた北欧デンマークのノルディスクが2021年にスタートさせた、ファッションを中心とするライフスタイルラインだ。アウトドア仕様でもセンスは都会的。ゆったりとしたモダンなシルエットが、大人の日常にフィットする。キャンプに便利なポケットが充実しつつ、おもな生地は昔のワークウエアのようにリネン(麻)を混ぜた、ナチュラルカラーの厚手コットン帆布。難燃加工も施され、焚き火や調理のときも安心である。
上下写真のコートは、テディボーイ・ジャケットに通じる小ぎれいな一着。表裏で着られるリバーシブルタイプで、「調理で汚れても裏返せばフォーマル気分で食卓につける」というストーリーが思い描かれている。日本の職人が手づくりした天然パナマ素材のボーイスカウト・ハットを被れば、爽やかな空の下での洒落心がさらにアップするだろう。コートの下にエプロンを組ませて、イマどきなレイヤードワークスタイルを狙うのも面白い。
上写真ではより日常的なアウトドアスタイルをイメージして、全身の服装をセッティングしてみた。決め手は、近年人気が高まるオーバーオール。コロナ禍での生活はポジティブに考えるなら、自分の内面世界に浸れる日々でもある。好きなものを自由に着ていいのだから、憧れのオーバーオールにもぜひ挑戦したい。ノルディスクのものはサンドベージュの色とシックな麻混生地で、大人こそが似合う顔つき。前立てが股下まで大きく開き脱ぎ穿きしやすく、ダブルファスナーで手洗いのときも便利だ。身幅が広くどんな服の上にも重ねて着られる。ダボッとした白Tシャツをインナーに着て、ネックレス風に財布を首から下げれば街中でも見栄えするモダンな着こなしになる。
デンマーク大使館での発表会/ヒュッゲがコンセプトの新直営店
ノルディスクが日本のマーケットに向けて活発な動きを見せている。20年12月には東京・代官山にあるデンマーク大使館にて発表会を開催。ここに紹介しているライフスタイルラインと、22年に三重県に誕生予定のグランピング施設のコンセプトが披露された。21年1月には東京・葛西臨海公園駅高架下の商業施設「Ff」内に、アウトドアライフを提案するショップ「ヒュッゲストア バイ ノルディスク」をオープン。日常生活にも役立つノルディスクの世界観を満喫できる製品を揃えた。
ノルディスクの日本への接近が心地よく感じられるのは、ホッとした心で暮らしたい気持ちの表れなのだろう。ブランドを象徴するコットン生地のテントもアパレルも、ベースにはデンマーク伝統のヒュッゲの概念がある。海外の人に“わびさび”を説明しにくいように、ヒュッゲも言葉で理解できるものではないようだが、華美な暮らしでなく等身大で日常を慈しむ気持ちと解釈してよさそうだ。家の中にキャンドルを灯すのも、子供と芝生に寝転ぶのもヒュッゲな時間。ニューノーマルな生活の大きなヒントになるヒュッゲを体感する手はじめに、ノルディスクの服に袖を通してみるのもひとつのやり方ではないだろうか。