2020年を象徴する、「トイレットペーパー」をめぐる2つの話題。

2020年を象徴する、「トイレットペーパー」をめぐる2つの話題。

文:河内秀子


マリオ・ローゼンアウアーによる「3枚重ねのトイレットペーパー」PV動画。ローゼンハウアー自身は「4枚重ね」派なのだとか。


世界中に広がる、新型コロナウイルスの波。欧州で再びロックダウンが進む中、トイレットペーパーがまたも存在感を増している。今年の春には、買い占めによりありとあらゆる店から姿を消し、オークションサイトで法外な値段が付けられて「白い黄金」とも呼ばれるように。特にふっくら丈夫な3枚重ねのものは、店頭に並ぶなり飛ぶように売れた。

ドイツ語圏のヒットチャートで快進撃を続けているのが「3枚重ねのトイレットペーパー」というYouTube発のポップソングだ。「あなたは私の生命線、私のパンツを救う騎士♪」。覚えやすいメロディとオーバーな歌詞。さらにドイツ語で「シュラーガー」と呼ばれる、演歌的な音楽ジャンルを意識したパロディ動画も相まって、一度聴いたら忘れられない。

歌い手はマリオ・ローゼンアウアー。普段はオーストリアのチロル州で音楽教師をしているという彼は、昨年、偶然この曲を思いつき、動画撮影してYouTubeにアップした。これがたまたま今年になって、コロナ禍のトイレットペーパー需要急上昇の波に乗り、110万回以上の再生数を誇るヒットになったのだ。

オーストリアで発売された、トイレットペーパー用紙製の切手。

さらにこの11月、またしてもオーストリアで、トイレットペーパーに注目が集まった。なんと2020年の新作切手として、オーストリア郵政省が「コロナの密を避けるルール〜私たちをつなぐ距離」とトイレットペーパー用紙にプリントした切手を発表したのだ。幅10cmと大きめの切手は、10枚つなげて貼るとちょうど、オースリアで推奨されているソーシャルディスタンス「赤ちゃん象の大きさ」の1mとなる。人と距離を取りながらも心は近くにいよう、笑顔を込めて互いに手紙を書こうという思いを込めたという。

この切手の売り上げは、コロナ緊急援助基金やユニセフなどに寄付される。「切手は時代を映し出す小さな芸術品。トイレットペーパーは2020年という年を最も反映するものなので、採用した」とオーストリア郵政省。

このアイデアは今年の春に生まれたのだというが、当時はトイレットペーパーの入手が困難だったため、発売が延期となったそうだ。10月末に販売開始となったこの切手は、あっという間に売り切れ、現在はネット上で高値で取り引きされている。「白い黄金」の株は、当分下がりそうにない。



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