真っ赤な髪の女性エステラは、いくつもの夢をもちつつも、いまはコールセンターで働いている女性です。初めは仕事へのモチベーションがあった彼女も、日々のどこかに限界や壁を感じ、徐々に遅刻を繰り返すダメ社員になってしまっていました。そんなある日、イケ面でゲイの先輩トレヴァーが彼女の教育係となり、2人は意気投合。2人の心の距離は徐々に縮まってゆくのですが……。

キュートでポップな色彩で彩られた、若い２人のラブストーリーは瑞々しく、2人の距離が縮まるほどに胸のときめきや体温が伝わってくるような感覚に包まれます。フィリピン版『恋する惑星』との評判も高く、映しだされるフィリピンという舞台背景、そしてなじみのないフィリピン映画ということからも、手がけるフィリピンの新人女性監督シージ・レデスマへの評価は上々です。けれどもこの映画を『恋する惑星』の二番煎じとしなかったのは、最後のシーン、そこで観客に叩きつけた現代の若者たちの抱える問題が、初々しい恋心でさえも照らせない闇となってスクリーンに投影されたからでしょう。（Pen編集部）