世田谷にロケット基地が!? 『SF・再始動』展で100年におよぶ“日本SF”の歴史をたどってみませんか。

  • 文:幕田けいた

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『海野十三全集』(1950年)。科学冒険小説、科学軍事小説、科学探偵小説など、海野作品のジャンルは多岐にわたります。ここから日本SFは始まったのです。

宇宙ステーション補給機「こうのとり」を搭載したH-IIBロケットなど、日本のロケットが盛んに打ち上げられています。ところで、東京の世田谷からも、月ロケットが打ち上げられたことがあるのをご存知ですか?……といってもこれはSF小説の中での話。いや、まだ「SF」という言葉が日本に入ってくる前の「科学冒険小説」での話です。“日本SF”の祖と呼ばれる作家・海野十三は、1948年の作品『月世界探検記』で、世田谷の地にロケット基地を出現させました。そんな日本SFの歴史を俯瞰できる展覧会『SF・再始動』が、世田谷文学館で2018年4月8日まで開催中です。

本展では世田谷文学館が所蔵する、日本SF黎明期に書かれた数々の科学小説、初公開となる特撮映画『ゴジラ』シリーズの台本、作家・豊田有恒旧蔵の日本SFを担った作家の書籍、懐かしのジュブナイルSF小説など、日本SFに関連する収蔵資料を一挙に展示。日本のSFを、改めて紹介していきます。

また、日本の造形作家・ムットーニによる、文学作品の一場面を人形や音、光を使って小さな舞台で表現する『ムットーニのからくり劇場』も上演。『月世界探検記』の1シーンも上演されています。

「科学冒険」「変格探偵」「空想科学」など、さまざまな名前で呼ばれ、100年以上もの時を刻んできた日本SFの世界には、いったいどんな豊かなイマジネーションが埋蔵されているのでしょうか。独創的な科学技術やマンガ、アニメで名を成すわが国の、原点と未来が見えるはずです。   

『18時の音楽浴』(1939年)。音楽を用いて国民をコントロールする独裁国家を描いた、大人向けの科学小説。

海野十三。日本SFの祖である彼の作品は、手塚治虫など日本のマンガ家にも大きな影響を与えています。

『SF・再始動』

開催期間:2017年10月7日(土)~2018年4月8日(日)
開催場所:世田谷文学館 1階展示室
東京都世田谷区南烏山1-10-10 
開催時間:10時~18時 ※入館は17時30分まで
休館日: 月 ※月が祝日の場合は開館、翌火曜休館
入場料:一般¥200(税込) ※企画展料金は別途
www.setabun.or.jp