街歩きと喫茶店での小休止、 このひとときは残していきたい。
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10 岸田繁ミュージシャン

街歩きと喫茶店での小休止、
このひとときは残していきたい。

各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、よい時間の過ごし方などについて聞く連載「MY Relax Time」。第10回は、2018年9月に4年ぶりの「くるり」のアルバム『ソングライン』をリリースし、今年5月から全国ツアーを開始する一方で、京都市交響楽団演奏による「交響曲第二番」をリリースするなど幅広く音楽活動を行っている岸田繁さんです。

写真:殿村誠士 スタイリング:森川雅代 (FACTORY 1994) ヘア&メイク:川島享子 (FACTORY 1994)  構成:和田達彦

岸田繁(きしだ・しげる)●1976年京都府生まれ。96年立命館大学の音楽サークルにて「くるり」結成。98年シングル「東京」でのメジャーデビュー以降、コンスタントに作品を発表し続けている。ソロでは映画音楽の制作、さまざまなアーティストとのコラボや楽曲提供などに関わり、クラシック音楽の制作も手がける。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部特任教授。

「くるり」は、もう20年もやっているバンドです。以前は毎年計画的に活動していましたが、40代になってそれを続けていくのはしんどい。メンバーそれぞれの時間を尊重しつつ、でも待ってくれているお客さんもたくさんいるので、時々会いにいって演奏する。そんなペースがいいですね。一方で僕個人としては、発注された仕事はできるだけやりたい。管弦楽曲の制作もそのひとつですが、依頼された時に「あえて現代音楽ではない違う世界のものを持ってきてください」と言われたので、好きなヨーロッパの作曲家をイメージしながらつくりました。これまでのロックやポップスと違うフィールドの音楽を40代でできたのはありがたいですね。またいまは大学で週6コマ授業をしているのですが、講義の準備中に、知った気になっていて全然理解できてなかったことに気づけたりして、人に教えることは自分にとっても勉強になります。

ジャケット¥62,640、カットソー¥21,600(ともに税込、N.ハリウッド)その他本人私物。

僕はもともと休めない性分で、何の予定もない日でも、曲をつくったり、楽器の練習をしたりしています。ずっとオフらしいオフはないですね。ただツアーの移動日のように完全にやることがない日は、昼は訪れた土地を見て回ったりします。そして夜は、昔は赤提灯の店に飲みに行くのが楽しみでしたが、最近はウイスキー、中でもアイラモルトに凝っているので、バーを訪ねます。あえて行ったことのない店を探して行くのが好きです。家でも晩酌は欠かせないのですが、プロ野球シーズンには大好きな広島カープの試合中継を見ながら飲んでいます。試合のない日でも、昔の試合で印象に残るシーンを録画やネット動画から探して見たりしていますね。

日常でのリフレッシュ法は、コーヒーとたばこ。僕にとってこのふたつはセットで、これがあるだけで気持ちを切り替えられます。ただ僕は自宅にいるときはたばこを吸わないし、仕事に集中している時もあまり吸わないですね。僕は河原など、クルマが通らない所を目的なく散歩するのが好きなのですが、京都には昔ながらの喫茶店がたくさんあるので、散歩のついでに寄って、スポーツ新聞を読みながらコーヒーとたばこで一服。最高に落ち着ける瞬間です。最近は喫煙に対して厳しい目で見られがちな世の中ですが、このひとときは残してほしいなと思いますね。

『岸田繁「交響曲第二番」初演』
岸田繁・京都市交響楽団・広上淳一(指揮)
Speedstar Records / Victor Entertainment
¥2,700(税込)

問い合わせ先/JT
www.jti.co.jp

撮影衣装協力:
ミスターハリウッド TEL:03-5414-5071

街歩きと喫茶店での小休止、 このひとときは残していきたい。