日本の貝類学の礎を築いた‟貝人”とは? 240点を超す貝のコレクション...

日本の貝類学の礎を築いた‟貝人”とは? 240点を超す貝のコレクション展がスゴい!

文:幕田けいた

生涯で650種の新種を記載し、“貝聖”と呼ばれた伝説的研究者、黒田徳米のコレクション『キセルガイ科の標本』。

夏の浜辺で、ついつい綺麗な貝殻を拾って記念に持って帰ったりした経験は、誰にでもあるでしょう。人の手ではつくり出せない色や模様、奇抜なデザイン……。有史以前から、貝殻は人を惹きつける自然の造形美をもっています。

そんな珍しい貝のコレクション約240点を通して、近代日本における貝類の研究者"貝人”たちの歴史を振り返る展覧会『ニッポン貝人列伝 ー時代をつくった貝コレクションー』が、2018年5月26日まで銀座のLIXILギャラリーで開催中です。本展は、日本の近代貝類学の黎明期を築いた研究者たちを紹介するとともに、彼らの情熱の結晶であるコレクションや周辺資料を展示。会場内に飾られた大小さまざまな標本には思わず見とれてしまいますが、なにより"貝人”を解説したパネルは必見です。アマチュアと学者が両輪となって発展した貝類学において、貝人たちはそれぞれ師弟関係だったり、協力者、支援者だったりと系譜が連鎖しているのが感動的。「貝を知りたい!」という熱意や愛情が、しっかりと受け継がれてきたことが伝わってきます。

個人的に興味を引いたのは、貝類学の先駆者である平瀬與一郎が編集した、明治40年発行の日本初の貝類専門誌『介類雑誌』や、戦前に"西の熊楠、東の源藏”と評された研究者、鳥羽源藏のコレクション。鳥羽のコレクションは岩手県の陸前高田市立博物館に所蔵されおり、2011年の東日本震災の大津波で被災したにもかかわらず、修復を終えて展示されています。また、明治時代の令嬢ながら、フィリピンの密林に分け入って博物学的蒐集を続けた日本初の女性コレクター、山村八重子の存在も気になるところ。

本展を見れば、新しい貝の世界の魅力に触れられるだけでなく、今年の夏、遊びに行く浜辺が違う景色に見えてくることでしょう。貴重なコレクションを堪能するチャンスです。お見逃しなく。

小学校教員、住職という変わった経歴の持ち主である吉良哲明のコレクション。イモガイ科『クロミナシ』の標本。

波部忠重のコレクションのカタツムリ『ムラヤママイマイ』。波部は、日本産の貝類約6500種のうち、 五分の一近くを記載した研究者です。

櫻井欽一のコレクション『フシデサソリ』。櫻井は老舗鳥料理屋の主で、有数の貝類コレクター。鉱物学博士として紫綬褒章を受章しました。

日本の貝類学の先駆者、平瀬與一郎が明治期に創刊した日本初の貝類研究専門誌『介類雑誌』。平瀬は、私財を投じて平瀬貝類博物館を開館するなど、貝類学発展に尽力しました。

『ニッポン貝人列伝 -時代をつくった貝コレクション- Kaijin - Shell Men』

開催期間:2018年3月8日(木)~5月26日(土)
開催場所:LIXILギャラリー
東京都中央区京橋 3-6-18 東京建物京橋ビル LIXIL:GINZA 2F
TEL:03-5250-6530
開廊時間:10時~18時
休廊日:水
会期中入場無料
www1.lixil.co.jp/gallery

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