11月2日(土)~4日(月)にシアターグリーン BIG TREE THEATERにて行われるのは『TO ツー 通(ツー ツー ツー)』。マレーシアと日本のアーティストによるレクチャー・パフォーマンスだ。
マレーシアの首都・クアラルンプールやペナン島を拠点に、移民やモノの移動などをテーマに創作活動を行ってきたオクイ・ララ。人種がミックスされた多文化コミュニティにおける人と表現の変化を探ってきた滝朝子。共通点の多いアジアのアーティスト2人が、初のコラボレーションでレクチャー・パフォーマンスを行う。
いまや260万人以上の外国人が暮らす日本。移民の彼らは、故郷と日本との間で生活用品や贈答品、仕送りなどをやりとりしている。今回は、そのモノの背景にある物語を紐解きながら、「移動」をテーマにしたパフォーマンスなども行う予定。国境を越えるモノの物語が、「境界」や「適応」について考えさせてくれる。
マレーシアは多民族国家で外国人を受け入れやすい土壌もあることから「日本人が住みたい国No.1」に13年連続で選ばれている(2006年~18年、財団法人ロングステイ財団調べ)。そんなマレーシアと“移民大国”日本のアーティストが見せる、アジアの姿とは?
メディア・アーティスト谷口暁彦が初めて劇場作品に挑戦。
『やわらかなあそび』
メディア・アーティストの谷口暁彦による劇場パフォーマンス『やわらかなあそび』。11月9日(土)~10日(日)にシアターグリーン BIG TREE THEATERで開催する。
サイコロを用いたリアルタイムシミュレーション『骰子一擲』(18年)や、自らのアバターを踊らせた『The Big Browser 3D』(16年)などの作品で注目を集めてきたメディア・アーティストの谷口暁彦がF/T19に登場。今回は、クッション素材でつくられた子供のための遊び場「ソフトプレイ」とバーチャル空間を重ね合わせた初の劇場作品を披露する。メディア・アートをはじめ、映像、彫刻、ネット・アートなど様々な手法で作品を発表してきた谷口が、身体すら必要としない新しい「上演」への取り組みに挑戦する必見のプログラムだ。
テクノミュージシャンCumhur Jayとコラボレーションした『Cumhur Jay-On&On』(16年)。谷口のアバターが、音楽に合わせてユニークなダンスを繰り広げる。
アバターが踊るのは、現実のようで現実でない多種多様なバーチャルワールド。『やわらかなあそび』でも、現実とバーチャルの境界が溶け合った谷口ワールドを楽しめそうだ。
移動式の砂場を運び、都市を見つめ直す体験型パフォーマンス。
『Sand (a)isles (サンド・アイル)』
10月28日(月)~11月10日(日)に池袋の各所で展開される『Sand (a)isles(サンドアイル)』。フィリピンのアーティストと日本の建築家が共同創作を行うアートプロジェクト。
フィリピン・マニラを拠点に活動するパフォーマンス・メイカーのJK・アニコチェと、演劇カンパニー「新聞屋」の美術制作などで知られる若手建築家の山川陸が、マニラ、ビエンチャン、クアラルンプール、東京でアジアの都市空間をリサーチ。そこで得たものを活かし、観客とともに街を探索するパフォーマンス・プログラム「サンドアイル」を展開する。
日本の都市空間は、どこかへ向かうための「通路」で構成されている。参加者は移動式の「砂場」を運びながら、大都市・池袋の通路、約500メートルを100分かけて3周。都市の中で人々が語らい過ごす穏やかな場所を発見したり、運んできた砂場で都市空間に「砂の島」をつくり出す“練習” を行う、というユニークな体験をする。この体験は現代の都市で生活していく上での、新たな視点やヒントを与えてくれることだろう。
アニコチェ(写真左)と山川(写真右)とともに、都市空間を検証する。パフォーマーと建築家の視点は、いつも歩く街の景色に新たな発見をもたらしてくれるかもしれない。
同じ「通路」でも、時間によって全く異なる空間が広がっている可能性もある。3周することで、また違った気づきに出合えることだろう。