Penが選んだ、2019年1月の注目カルチャー

Penが選んだ、2019年1月の注目カルチャー

クリエイティブを刺激する、本、映画、音楽を紹介する「Penが選んだ注目のカルチャー」。注目すべき作品を、一挙にご紹介します。



[BOOK/本] 文:今泉愛子

定住も定職も諦めた、アメリカ中流階級の現在。
『ノマド 漂流する高齢労働者たち』

本書に登場するノマドとは、自宅がなく仕事を求めて各地を放浪する高齢者たちのこと。アメリカでは、住居費が高騰し家を借りられなくなる人が急増している。64歳のリンダは、暖かくなるとジープで彼女の住居の小型トレーラーを牽引してキャンプ場に向かう。スタッフとして働くためだ。登場するノマドは健康で気力もあるのに、ビーツの収穫など期間限定の仕事がかろうじて見つかるだけ。彼らの前向きさや能力が人生の豊かさにつながらないことがなんとももどかしい。

Penが選んだ、2019年1月の注目カルチャー

ジェシカ・ブルーダー 著 鈴木素子 訳 春秋社 ¥2,592(税込)

戦いと共存の歴史から探る、人類とウイルスの未来。
『ウイルスは悪者か お侍先生のウイルス学講義』

エボラ出血熱や新型インフルエンザ、デング熱など人類を脅かす強力なウイルスは、どんな存在なのか。ウイルス学を研究する著者は、エボラウイルスを求めてアフリカのザンビアの森で10年以上毎年コウモリを捕獲。インフルエンザウイルスを探してアラスカやシベリアでカモの糞を拾い、熱心に研究を続けるが、いまだ明らかにならない部分が多い。創薬の道のりやパンデミックへの対処などウイルスと人間との関係を徹底的に解説する。

Penが選んだ、2019年1月の注目カルチャー

髙田礼人 著 萱原正嗣 構成 亜紀書房 ¥1,998(税込)

スマホさえ持たせておけば、人の意見は簡単に誘導できる⁉
『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』

デジタル・テクノロジーのおかげで暮らしは快適になったのだろうか。ジャーナリストの著者は、こと民主主義にとっては根源的な要素の多くが蝕まれていると説く。情報が増えたことで選択肢が増え、自由な選択が可能になったと思いがちだが、アメリカ大統領選挙やフェイスブックなどの企業戦略を分析すると、人の考えがいとも簡単に誘導される実態が見えてくる。民主主義は継続できるのか。

Penが選んだ、2019年1月の注目カルチャー

ジェイミー・バートレット 著 秋山 勝 訳 草思社 ¥1,728(税込)

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