いくつもの顔をもつ森鷗外の功績をたどる「ドクトル・リンタロウ―医学者としての鷗外」開催中です。

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    森鷗外と言えば、多くの人は『舞姫』や『高瀬舟』など、現代に残る数々の名著を思い出すのではないでしょうか。もちろん鷗外は明治の文豪のひとりです。しかし、現代の私たちにとっては“あたりまえ”の都市計画や予防医学など、公衆衛生の必要性を発信したのも彼でした。森林太郎として、生涯にわたり衛生学を専門とした医事行政に関わった医学者でもあったのです。

    今展示では、医学者としての森林太郎に注目。私たちの生活とかかわりの深い彼の業績を、医学生時代・留学時代の医学論文の自筆原稿、書簡などとともに紹介、医学の視点から鷗外作品の再読にも試みます。

    焼き芋、梅干し、おにぎりが好物だった鷗外。一方、生の果物は口にしなかった、風呂に入らなかったという話もあります。日本近代医学の黎明期に林太郎が何を学び、何に取り組んだのか、彼の功績をたどることでこうした鷗外の好みや行動は、何に由来するものなのか、分かるかもしれません。

    『仮面』『ヰタ・セクスアリス』『渋江抽斎』『伊沢蘭軒』など、鷗外の作品を医学の視点で読むという経験はなかなか出来ません。健康に暮らすための環境を整備するための医学で、今の私たちの当たり前を築いた森林太郎。彼の理想を読み解きましょう。

    森林太郎自筆 医学部時代の受講ノート。1冊の中にユヒウスの講義録、ヒルゲンドルフの動物学、植物学などが収録されている。

    明治40年7月に発行された『衛生学大意』。林太郎の衛生学書三部作のひとつとされる。

    文京区立森鷗外記念館 特別展
    「ドクトル・リンタロウ―医学者としての鷗外」

    会期:2015年10月3日(土)~12月6日(日)
    会場:文京区立森鴎外記念館 
    東京都文京区千駄木1-23-4
    開館時間:10時~18時 
    ※11月6日(金)~8日(日)は20時まで開館(最終入館は閉館30分前まで)
    休館日:第4火曜日(会期中)
    観覧料:500円(20名以上の団体:400円)
    中学生以下無料、障がい者手帳ご提示の方と同伴者1名まで無料