大宮エリーが代官山で個展を開催! 絵画で紡ぎ上げた‟ある夫婦”のストーリーに胸を打たれます。

  • 写真・文:中島良平

Share:

27歳にして最愛の夫を失い、未亡人となったひとりの女性。その思い出が詰まった家を、取るに足らない日用品の数々で表現した作品『未亡人の館』で、展示はスタートします。

日常を綴るエッセイ作家、ラジオのパーソナリティ、映画監督や演劇の作・演出など、ジャンルを超えて活動を続ける大宮エリー。近年は、インスタレーションや絵画作品を手がけるアーティストとしても活動しており、個展『Beautiful Days 〜美しい日々』が、代官山のヒルサイドフォーラムで2019年1月27日まで開催されています。

最初の2部屋の展示空間に広がるのは、2018年のイベント「六甲ミーツ・アート 美術散歩」で発表した『未亡人の館』。27歳で未亡人となったひとりの女性の、最愛の夫との思い出が詰まった部屋を、41点の絵画で表現した作品です。ベッドやソファなどの家具、観葉植物、ワインのボトルにコーヒーカップなど、愛する夫と暮らした部屋にある当たり前の物たち。夫を亡くし、愛とはなんだろう、人生とはなんだろうと考え、悲しみにくれた彼女が夫の死を受け入れた時、この家にあるすべてのものが彼女に語り始めました。当たり前であるがゆえに普段は気にも留めていなかったものが、実は幸せで美しい日々と密接に結びついていたことに、気づかされるのです。

さらに奥の展示室には、世界屈指のパワースポットとして知られるアメリカ・カリフォルニア州のシャスタ山で撮り下ろした写真を展示。大宮がその「リアルな楽園」を目の当たりにしたことで生まれた絵画のシリーズ『楽園』が、壁や床に描き下ろしを加えたインスタレーション作品に生まれ変わりました。クラシックなスーツケース、赤と白のチェックのレジャーシート、2足の長靴や双眼鏡などを描いた絵画……。そう、この楽園は、『とある未亡人の館』の夫婦が過去にふたりで楽しんだピクニックの舞台なのです。

未亡人が愛する夫の死を受け入れ、幸せな日々を思い起こすきっかけとなった日常の品々。そして、幸せな時間をともに過ごした場所……。一連の展示作品を見れば、絵画を通して表現される大宮のストーリー描写力に胸を打たれるに違いありません。

『未亡人の館』に入るとすぐに、味のある椅子やランプの絵が展示されています。

サイドテーブルの花瓶にいけられているのは、色鮮やかな花。壁紙の模様も描き下ろしです。

奥には青みがかったグリーンの壁が印象的な寝室が。

壁には、未亡人が夫に出会った頃から結婚後までの肖像画がかけられています。

『未亡人の館』を抜けると、『スピリット・チャージ写真展』と題された空間。アメリカのシャスタ山で大宮が撮影した写真が展示されています。

最後のインスタレーションは、シャスタの風景にインスパイアされて生まれた『楽園』。靴を脱いで中に入ることができる体験型の作品です。

夫婦は『楽園』で、ワインを飲みながら景色を楽しんだのでしょう。

作品を前に笑顔を見せる大宮エリー。撮影:Kenta Aminaka

大宮エリー『Beautiful Days 〜美しい日々』
開催期間:2019年1月12日(土)〜2019年1月27日(日)
開催場所:代官山ヒルサイドテラス ヒルサイドフォーラム
東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟1F
TEL:03-6459-4030(小山登美夫ギャラリー)
開館時間:11時〜19時 ※入館は閉館の30分前まで。最終日は17時閉館。
休館日:1月21日(月)
入場料:一般¥500(税込)
http://koyamaartprojects.com/news/omiya2019/