サントリー美術館のリニューアル記念展で愛でる、「ハレ」の場を彩る名品たち。

サントリー美術館のリニューアル記念展で愛でる、「ハレ」の場を彩る名品たち。

文・写真:はろるど

手前左から:野口哲哉『THE MET, RED MAN 2016, Avatar 1ー現身―, FRONTEER, Un samuraî vient』いずれも個人蔵 奥:『賀茂競馬図屛風』サントリー美術館 『賀茂競馬図屛風』(江戸時代)を見上げるのは、現代美術家の野口哲哉による甲冑姿の人物をモチーフとしたミニチュアたち。古色を帯びた甲冑は実にリアルで、まるで屏風の中から飛び出してきたようで楽しい。

昨年冬からの設備改修工事を終え、2020年7月にリニューアルオープンしたサントリー美術館。2007年に赤坂から六本木へ移転して以来初の改修で、外観や館内の動線に変化はないものの、エントランスには「水」をイメージしたガラスのカウンターを導入。さらに照明も自然光のような波長を含むLEDに一新されるなど、進化を遂げている。

そのリニューアル記念展の第一弾となるのが、『ART in LIFE, LIFE and BEAUTY』だ。ハレ(非日常)の場にふさわしい着物や装飾品、酒宴の調度品、南蛮趣味の工芸など、古来から暮らしを彩ってきた品々を展示。あわせて現代美術家の山口晃や野口哲哉、それに漆芸アート集団「彦十蒔絵(ひこじゅうまきえ)」の若宮隆志などによる、古美術をリスペクトした作品も公開されてている。過去と現代がクロスする意外な邂逅も見どころだ。

江戸時代の絵画の世界を立体的に再現した取り組みも興味深い。上野の花見と歌舞伎をモチーフとした伝菱川師宣の『上野花見歌舞伎図屛風』(江戸時代)には大勢の宴会を楽しむ人々が描かれているが、その光景を同時代の工芸品にて再現して、雅やかな雰囲気を演出している。衣桁に多くの衣装を掛けた様子を描いた『誰が袖図屛風』(江戸時代)も、同じく当時の道具で空間を再構成し、屏風と見比べることができる。使用されている展示品もハレにちなみ、国宝の『浮線綾螺鈿蒔絵手箱』(鎌倉時代)や京焼の名品『色絵梅枝垂桜文徳利』(江戸時代)など、華美で高貴な作品が多いのも特徴だ。会場がまぶしく映る。

1961年に開館したサントリー美術館は「生活の中の美(ART in LIFE)」を基本理念に掲げ、数多くの展示や収集活動を行ってきた。生活に使われる道具や調度に「美」を見出す人々の意識は、いまも昔も変わっていない。奇しくもコロナ禍において、宴会や祭りが立て続けに自粛されるなか、サントリー美術館へ並んだ麗しい優品を愛でていると、久々に心晴れやかな気分にさせられてうれしくなる。

『泰西王侯騎馬図屛風』(桃山〜江戸時代)の左隣には山口晃の『厩圖』(2001年)が展示されている。いずれも室町時代の『厩図屏風』(東京国立博物館所蔵、本展不出品)の構図に着想を得た作品で、古典の系譜が、室町から桃山、そして現代へとつながっていることがわかる。

『朱漆塗矢筈札紺糸素懸威具足』(桃山時代)とともに並ぶのが、野口哲哉の武者のミニチュア『WHO ARE YOU〜木下利房と仮定』(2020年、高橋龍太郎コレクション)。ここで野口は甲冑の伝来を考察。豊臣家滅亡後の徳川時代に豊臣利次と名乗った人物の父、木下利房の所用でないかと定義し、ミニチュアを制作した。

伝菱川師宣の『上野花見歌舞伎図屛風』(江戸時代)の酒宴の場面をヒントに、酒器や食器、煙草盆などを立体的に組み合わせて再現した展示。蒔絵の三味線や胡弓も並んでいて、屏風と見比べられる。

手前に並ぶのは『色絵梅枝垂桜文徳利』(左)と『色絵松竹梅文六角徳利』(右)。ともに江戸時代の京焼特有の上品な佇まいが魅力だ。

「リニューアル・オープン記念展 ⅠART in LIFE, LIFE and BEAUTY」

開催期間:2020年7月22日(水)~9月13日(日) ※会期中展示替えあり
開催場所:サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
TEL:03-3479-8600 
開館時間:10時~18時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日(9月8日は開館) 
入場料:一般¥1,500円(税込)
※マスク着用や入館前の検温、手指消毒液を設置するなど、新型コロナ感染拡大防止のための対策を実施。

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