社会と対峙し創造する、世界の女性アーティスト16人

社会と対峙し創造する、世界の女性アーティスト16人

文:川上典李子

フィリダ・バーロウ『無題:キャンバスラック; 2018-2019』2018-2019年、参考図版。2019年のロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(ロンドン)での『袋小路』の展示風景。その他、ソーシャリー・エンゲージド・アートの先駆者で女性解放運動などの課題に取り組むスザンヌ・レイシー、人種に言及した作品を制作するセンガ・ネングディら、全16作家の作品を展示。 Courtesy: Cross Steele Collection photo: Damian Griffiths

【Penが選んだ、今月のアート】

71歳から105歳まで、半世紀を超えて活動を続ける女性アーティストに焦点を当て、初期作品や代表作、新作を紹介する展覧会が幕を開ける。

活動拠点は各々異なり、ニューヨーク、パリ、ロンドンをはじめ、ブラジル、インドネシア、エジプトとさまざま。一方で興味深い共通点がある。2012年のドクメンタ13に参加したアンナ・ボギギアン、17年のべネツィア・ビエンナーレでイギリス代表だったフィリダ・バーロウなど、国際美術展に招聘されるといった高い評価を得たのはここ10年であることだ。

美術界の動向には迎合せず、自らの表現に50年以上向き合ってきた作家ばかり。熱くも冷静な姿勢から生まれる作品には、各々が感じ取る社会の動きや課題、歴史、政治に対する批評の視点がにじみ出る。各者の生きる力だ。

本展のための新作にも注目を。段ボールやコンクリートなど安価な工業用素材を用い、物質の状態が変容するさまを表現するバーロウは、高さ4m以上のインスタレーションに挑んだ。女性は繊細で美しくあるべき、という世の期待に対する意図的な反抗心があると述べるバーロウ。強い意志がもたらすエネルギーが作品には満ちる。

大阪と土岐を拠点に、消費社会や情報化社会への批判を込めた作品をつくり続ける三島喜美代は、新聞紙を模した陶と廃材を組み合わせた立体作品を発表。「いつも命がけで遊んでいるだけ」と語る三島は今年で89歳だ。

森美術館の片岡真実館長は言う。

「あらゆるステレオタイプから自由であろうとし続けてきたアーティストたち。その生き方はしなやかで強い」

社会と向き合い続けてきた女性たちの渾身の作品に出合える貴重な機会。いまを生きていく、その根源的な力が求められる現代において、彼女たちの生き方、創造に向かう凛とした姿が私たちを鼓舞する。

アンナ・ボギギアン『空から落ちた流星』2018年、参考図版。2019年のアルテス・ムンディ8(ウェールズ・カーディフ)での展示風景。

宮本和子『黒い芥子』1979年。1979年のA.I.R.ギャラリー(ニューヨーク)での展示風景。 Courtesy: Exile, Vienna, and Take Ninagawa, Tokyo

『アナザーエナジー展:挑戦しつづける力──世界の女性アーティスト16人』
開催期間:4/22~9/26
会場:森美術館
TEL:050-5541-8600
開館時間:10時~22時(5/4を除く火曜は17時まで) ※入館は閉館の30分前まで
会期中無休
料金: ¥2,000(税込)(土曜、日曜、祝日は¥2,200(税込)) ※日時指定予約制
www.mori.art.museum

※臨時休館や展覧会会期の変更、また入場制限などが行われる場合があります。事前にお確かめください。

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