Feature Fashion 記憶に遺したい、高架下のこだわり店。

記憶に遺したい、高架下のこだわり店。

日本伝統の「刺し子」を後世に遺したい。

日本伝統の「刺し子」を後世に遺したい。

吉田さんが手にしているのが、5年間かけて庄内の刺し子を再現したピーコート(¥110,000)。新品ですがすでに風格を漂わせています。右に掛かっているのが、古い刺し子の生地を使って、ピーコートにリメイクした一点もの(価格未定)。

日本伝統の「刺し子」を後世に遺したい。

ボロボロになってしまった古い刺し子の生地をいろいろなテクニックで補修することは、絵の修復に似ていると吉田さん。

吉田克幸さんが「最後のライフワーク」として、いま取り組んでいるのが、日本伝統の「刺し子」の復興です。刺し子とは、綿布などを重ね合わせて一面に細かく刺し縫いすること、あるいは刺し縫いしたものをいいます。吉田さんは、よく地方を訪れるそうですが、東北・青森で訪ねた民藝館のイベントで、庄内地方でつくられた伝統的な刺し子に出合ったそうです。

「どんなに貧しくても、稗や粟があれば空腹はしのげますが、寒さだけは(着るものなしには)しのげません。刺し子はこの地でそうした思いで繕われていたものです。刺し子は、いろいろな場所にあります。秋田、青森、南の地方にもある。海外でもつくられていました。今回、とくに僕らが注目したのは、山形の庄内地方に伝わる刺し子です。これはデニム同様、世界に誇れるものです。これを蘇らせることをライフワークにしたいと思ったのです」

日本伝統の「刺し子」を後世に遺したい。

古い刺し子の生地を使ってリメイクしたジャケット(価格未定)はモダンささえ感じられます。11月末から伊勢丹メンズ館で展示販売する予定。

日本伝統の「刺し子」を後世に遺したい。

いい状態でしかもジャケットなどにリメイクできるような大きな刺し子生地はなかなか見つからない。「この生地、この糸からいろいろなことを学んだんですよ」と吉田さん。

ボロボロになった昔の生地を入手し、糸や織りの状態、染めに至るまで徹底的に研究したそうです。何度も試行錯誤を重ね、それぞれの分野のプロフェッショナルたちの協力を得て、吉田さんが満足いく生地がついに再現されました。5年間もかかったそうです。同時に古い刺し子の生地をそのまま使い、新しいアイテムへとカスタムした一点モノの作品も発表、この秋には、発売されるそうです。

「ようやく生地も、縫いも、再現することができました。これでスーツから、ピーコートベレー帽とかバッグなんかもつくってみたい。もしこれを着てボロボロになったら、ウチで直してまた着てもらうんです。イギリスの貴族なんかも、普段はツギあての入った服を着ているでしょ。本当はそうした着方のほうが、ずっと粋なんです」

前述のように、吉田克幸さんは、日本のファッション界のレジェンドともいえる人です。そんな伝説の人が次世代に遺したいと本気で取り組んだ刺し子。記憶に遺したいショップにふさわしい逸品ではないでしょうか。
まさに吉田克幸ワールドともいえる銀座のこのショップを堪能できるのもあとわずかです。気になる方はぜひとも覗いてみてください。(小暮真弘)

日本伝統の「刺し子」を後世に遺したい。
日本伝統の「刺し子」を後世に遺したい。

出来上がったばかりのカスタムされた刺し子ジャケットを着る吉田克幸さん。パンツも刺し子を藍染めしたものを着て。1枚つくるのに職人がひと月もかかる逸品。「刺し子は僕にとって、いまや信仰に近いものがあるんです」と吉田さんは愛おしくジャケットをながめながら話していました。

Porter Classic 銀座

東京都千代田区内幸町1-7 インターナショナルアーケード 第一アーケード内
TEL:03-5512-0510
営業時間:12時〜20時
www.porterclassic.com

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