【土に包まれるベーカリー】福岡・明治公園に誕生した新しい食空間

  • 文:佐藤季代
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夜はパンビストロとして営業。天井高の異なる、さまざまなスケールの居場所が連続する。曲面の壁と植栽が公園の境界をやわらかくつなぐ。

飲食店など民間事業者の収益を公園整備に還元するパークPFIを活用した都市開発が進む福岡市。2026年8月、博多駅前に「明治公園」が開園した。広場や園路、建築が一体となった都市の居場所を生み出している。その顔として注目されるのが、公園東端の店舗棟1階に誕生したベーカリー&パンビストロ「ランド バゲリ(Land Bageri)」だ。

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夜はパンビストロとして営業。天井高の異なる、さまざまなスケールの居場所が連続する。曲面の壁と植栽が公園の境界をやわらかくつなぐ。photo: Yuki Katsumura

インテリアの設計を手掛けたアクソノメトリックの佐々木慧は「公園の風景に自然と溶け込みながら、大地や洞窟を思わせる空間をつくり上げました」と語る。
印象的なのが、洞窟を想起させる天井の大きな起伏。造形的なコンセプトを担いながら、必要な収納を内包し、視線をほどよく遮る目隠しとしても機能する。低く抑えた天井高により、カウンター席に座ると包まれるような感覚を覚える。仕上げには、土の凹凸が自然な陰影を生む土左官を採用。職人が何度も塗り重ねては削り、砂利の粒度を調整することで、不均質で味わいのある表情を引き出した。壁面の植栽にはグラス系の植物と観葉植物を織り交ぜて使用し、公園の緑が店内へ隆起してきたかのような趣を見せる。

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ガラスのファサード越しに、地層があらわになったような土の量感が浮かび上がる。土左官は大分の原田左研と福岡の三宅左官が手掛けた。photo: Yuki Katsumura

パンの味わいを育む土や空気、そして職人の手仕事。食の場に必要な機能を編み込みながら、土の温もりを感じる根源的な風景をつくり出している。

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明治公園の東端に設けられた店舗棟に入居。角地の両サイドからアクセスでき、利用客は店内を通り抜け、洞窟のような空間を体験できる。photo: Yuki Katsumura

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カウンターに並ぶ不定形なパンの姿も、空間を形づくるイメージのひとつとなった。木の質感を活かした家具の風合いが土の空間になじむ。

ランド バゲリ

福岡県福岡市博多区博多駅前3-24-3
☎092-402-9995
ベーカリー8時〜16時、ビストロ17時〜23時 
定休日:月
www.land-bageri.com

【設計者】アクソノメトリック
佐々木慧が2021年、福岡を拠点に設立。佐々木は藤本壮介建築設計事務所を経て独立し、これまでにNOT A HOTEL FUKUOKAや大阪・関西万博のポップアップステージなどを手掛けている。