東京・東新宿で50年にわたり親しまれてきた金沢浴場が、7月に「黄金湯 新宿店」として再生した。
設計を担当したのは、永山祐子建築設計。隣接するコインランドリーや事務所を取り込み、番台や共用部を拡張。サウナやバースペースを融合させ、新たな交流拠点へと更新した。永山は「新宿という街が持つ多層性を空間に活かし、浴場の記憶を次世代へと継承したいと考えました」と語る。
そうした考えは、建物に刻まれた痕跡を活かしながら、新たな素材や色、光を重ねる改修に表れている。その象徴となるのが、浴室の核となる中世ヨーロッパの風景を思わせるモザイクタイル壁画だ。欠損部はAIも活用して修復しつつ、浴室全体に新たに敷き詰めたタイルと緑を基調とした彩色により、全体が自然につながるグラデーションを描き出した。加えて、後年の改修で付けられた天井パネルを剥がし、創建当初のアーチ天井を復元。光を導くやわらかな曲面が、懐かしさと幻想性を併せ持つ空間をつくり出している。
また、新設されたサウナゾーンは、溶岩タイルを用いた男性用と、曲面に包まれるような女性用が、それぞれ異なる没入的な体験を生み出している。
記憶を尊重しながら新たな価値を重ねた交流拠点。失われつつある銭湯文化を次世代へつなぐモデルと言えるだろう。
黄金湯 新宿店
東京都新宿区新宿 7-22-11
金沢マンション 1F
開場時間:12時30分〜翌9時30分
休館日:第1・第3火
料金:¥600(サウナ代は別途)
永山祐子が2002年に設立。建築からインテリアまで幅広く手掛け、「ルイ・ヴィトン大丸京都店」「豊島横尾館」「東急歌舞伎町タワー」、大阪・関西万博のパビリオンなど多様なプロジェクトを展開している。





