インフレで外食を控える人が増えても、実はワインの消費自体は縮んでいない。
国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の統計によると、日本は2025年、アジア最大のワイン輸入市場となり、ワイン消費量は前年比6.8%の伸びを記録した。物価高のなかでも「家飲み」需要は衰えるどころか、むしろ定着しているのだ。しかもいま選ばれているのは、「安いワインをがぶ飲みする」スタイルではなく、「少し値が張っても、おいしい一本を、自宅でじっくり味わう」という飲み方。
せっかくいいワインを飲むなら、ちゃんとおいしく飲みたい――そう思う人が増えるのは当然の帰結だろう。グラスを選び、デキャンタージュをし、料理との相性を考える・・・。そのなかで、意外と見落とされがちなのが「温度」だ。同じ一本のワインでも、提供温度が数度違うだけで、香りの立ち方も、酸や渋みの感じ方も、まったく変わってしまう。
そんなワインの温度管理を、家庭でも手軽に再現できるようにしたのが、台湾発のワイン関連グッズブランドVIVANT(ヴィヴァン)によるポータブル電動ワインチラー「Venus G2(ヴィーナス ジーツー)」だ。母体のアテック テクノロジー コーポーレーション(ATEK Technology Corp.)は、半導体分野で30年以上、ウェハーやパネルの精密製造を手がけてきた企業。その温度制御技術をワインに応用し、「スマート・ワイン・エコシステム」を掲げて開発された一台である。この夏日本市場に向けて発売が開始されたばかりの新商品だ。
デュアル半導体(ペルチェ)冷却により、8度〜20度という幅広い温度帯に対応。赤外線センサーがボトルの温度をリアルタイムで検知し、アイスバケツのように冷えすぎる心配なく、設定温度をキープし続ける。氷や水を使わないため、繊細なラベルも濡らさず美しい状態を保てるのもうれしいポイントだ。
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温度の変化でワインの味わいは別物に
その実力を、実際のペアリングイベントで体感する機会があった。会場は、ミシュランガイドで2つ星を獲得しているフレンチの名店、Restaurant Ryuzu(東京・六本木)。まずは、「デーンホフ クロイツナッハ カーレンベルク リースリングトロッケン 2023」をVenus G2で8度と12度に設定し、飲み比べをしてみた。
8度のワインを飲むと、味わいはシャープかつ直線的な印象で、果実感はマスキングされて酸味が際立っているのを感じる。一方12度では、円熟味とまろやかさが立ち上がり、アロマの広がりと複雑味がはっきりと増した。
さらに印象的だったのが、「ミッシェル カイヨ ムルソー 2018」の比較だ。キンキンに冷えた6度では酸味と苦味が表に出ている一方で、12度まで上げると、クリーミーな質感やナッツ、トースト、アーモンドを思わせる複雑な風味が一気に花開いた。
赤ワインでも同様の検証が行われた。記録的な温暖ヴィンテージとなった2023年のピノ・ノワール、「クロード デュガ ブルゴーニュ ルージュ 2023」を、常温に近い25〜35度のグラスと、18度に設定したVenus G2で飲み比べる。
常温のグラスは力強さこそあるものの、エレガンスに少し欠けたような印象に。対して18度では、フレッシュ感とエレガンスが際立ち、非常にピノ・ノワールらしい一杯に変わった。
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温度選択がワインの楽しみを広げる
2025年のASIアジア・パシフィック最優秀ソムリエで、VIVANTのグローバルブランドアンバサダーを務めるリーズ・チョイは、「基本的にワインは温度が低いほど風味の広がりは小さくなり、高いほど大きくなる。正解・不正解はなく、目的に応じた温度選択が一番大切」と語る。
ワインは温度により、味わいが大きく変わるのは紛れもない事実。せっかく美味しいワインを買っても、その実力を堪能できないのは残念すぎる。
グラスや料理の組み合わせにこだわるように、温度にもひと手間かけることで楽しみが増すなら、試さない手はない。
ちょっとした工夫が、日常の一杯を、確かな贅沢に変えてくれるはずだ。
『VIVANT』