【未公開カラー初公開】植田正治の新たな魅力に出会う写真展、7月に新宿で開催

  • 文:Pen編集部 
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なんば内観.jpg

2026 年5 月にカメラのキタムラ大阪 なんばCITY 店で開催した植田正治氏の写真展『植田正治が見た情景』

日本写真史において、唯一無二の様式美を打ち立てた写真家・植田正治。その名を耳にすれば、鳥取砂丘に配された人物たちの、あの不思議な距離感と静謐な空気を思い浮かべる人も多いだろう。だが彼の仕事は、「砂丘シリーズ」だけにとどまらない。

新宿 北村写真機店の地下1階、ベースメントギャラリーで開催される本展『もう一度、植田正治』は、その既成のイメージをゆるやかに解きほぐし、写真家のもうひとつの輪郭を浮かび上がらせる。

未公開カラーが語る、もうひとつの“植田調”

本展の大きな見どころは、これまで広く紹介されてこなかったカラー作品群だ。植田の生家から発見されたそれらは、いわば“未見の植田”。とりわけ注目したいのは、松尾芭蕉『おくの細道』をテーマにした北陸の旅のシリーズ。風景のなかに漂う静けさはそのままに、色彩が加わることで、時間や温度がより豊かに立ち上がる。

さらに、あの鳥取砂丘を舞台にしたカラー写真も登場するというから興味深い。モノクロで確立された「植田調」が、色とともにどのように変奏されるのか。写真の新たな奥行きに触れる機会となりそうだ。

作品①.jpg植田正治、本人の影が映り込んだ鳥取砂丘で撮影された写真。

オリジナルプリントで出合う、名作の強度

一方で、長年愛されてきた代表作もオリジナルプリントで展示される。『砂丘シリーズ』や『パパとママとコドモたち』といった作品群は、単なる“代表作”の枠を軽々と超え、いまなお新鮮な視点を投げかけてくる。

被写体の配置、空間の切り取り方、そこに宿るユーモアと詩情。世界的にも評価され、「Ueda-Cho(植田調)」と呼ばれるそのスタイルは、時代を超えて有効であり続ける。

加えて、実際に使用されていたカメラや、制作時の絵コンテも展示予定。完成した一枚の裏側にある思考のプロセスを垣間見ることで、作品の見え方はまた大きく変わるはずだ。

地下から発信される、写真文化の現在地

会場となるベースメントギャラリーは、「地下から写真文化を発信する」というコンセプトのもとに生まれた空間。都市の喧騒から一歩潜り、作品と静かに向き合う。その体験自体が、写真というメディアの魅力を改めて気づかせてくれる。

なお、今年5月に大阪・なんばCITY店で開催された展示は同店史上最大の動員を記録。本展では、その際にとくに評価の高かったオリジナルプリントの点数も増やして構成されているという。

作品②.jpg砂丘モード』(1983年)

写真を見る、というより“出合い直す”

「もう一度、植田正治」というタイトルは、決してノスタルジーだけを意味しない。既に知っているはずの作品を、もう一度、異なる角度から見直すこと。その行為が、いかに豊かな発見をもたらすかを、この展示は静かに教えてくれる。

写真を愛する人はもちろん、これまで名前しか知らなかったという人にも開かれた機会だ。地下のギャラリーで、“見慣れたはずの写真”と、あらためて出合ってみてほしい。

『もう一度、植田正治-発掘されたカラー作品とオリジナルプリントから、植田正治を再発見する-』

開催期間:2026年7月1日(水)〜7月31日(金)
開催場所:新宿 北村写真機店 B1F ベースメントギャラリー
開館時間:10時〜19時

www.kitamuracamera.jp