ルーヴルの古代美術を腕時計に宿す、ヴァシュロン・コンスタンタンの超絶技巧

  • 文:柴田 充
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「メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して -」シリーズの新作4本。ダイヤルのモチーフは左から、ヴェッレトリのアテナ、アクエンアテンの胸像、イシス神殿のテベレ、サルゴン2世のラマッス。

ヴァシュロン・コンスタンタンとルーヴル美術館の協業から「メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して -」の新作が誕生。ルーヴル所蔵の古代美術に着想を得て、装飾技法の粋を尽くし文明の記憶を腕時計に宿す。

文字盤上で共鳴する、メゾンの芸術性とルーヴルの古代美術

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ヴァシュロン・コンスタンタンとルーヴル美術館は2019年にパートナシップを結んだ。本作はその協業から生まれた作品のひとつ。

ヴァシュロン・コンスタンタンとルーヴル美術館は、芸術と職人技の保護と継承を目的に2019年にパートナーシップを結んだ。

その一環として22年に「メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して -」シリーズを発表。ルーヴル美術館が展示する古代美術をモチーフに、その芸術性を小さな文字盤上に再現した。そして今回発表された4作の腕時計でも古代美術を採用。その理由をメゾンのサンドリン・ドンガイはこう語る。

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サンドリン・ドンガイ●ヴァシュロン・コンスタンタン プロダクトマーケティング&イノベーションディレクター。2018年にヴァシュロン・コンスタンタンに入社。企画・開発・戦略立案をはじめ、デザインやクラフツマンシップ部門、イノベーション領域を横断的に統括。本作の構想は前作発表の22年以前から既に始めていたという。

「古代文明は、科学、文化、芸術の出発点であり、人類の根源でもあります。そしてその偉大なヘリテージは、壮麗さや威厳とともに、古から連綿と続く時が存在することを改めて私たちに思い起こさせてくれるのです」

4本の腕時計には、エジプト文明からアッシリア帝国、古代ギリシャやローマ帝国の傑作が見事に表現される。それらの古代美術は人間美を追求し、中世、ルネサンスへと続く西洋美術も、まさにここから始まったといえるだろう。

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制作時、デザイナーはまず作品と向き合い、角度やトリミングを検討し石のディテールや陰影も含めて細密にデッサン。それをもとに鋳造で試作、レリーフの厚みや陰影を確認後、彫石に進んだ。写真はラマッス像のデッサン。

「古代エジプトでは水を使って時の経過を計測し、今日、私たちはそれを機械で再現しています。つまり美術と時計は要素こそ異なっても、人類の営みに欠かせないものとして既に存在し、実に多くの類似点や共通点があるのです」

その美しさを文字盤に再現するのがメゾンの誇るメティエ・ダールの技術だ。マイクロモザイク、マルケトリ、彫金、金箔、ミニアチュール・ペインティングといった、継承と研鑽を続ける熟練職人の手による伝統的な装飾技術に加え、石を用いたグリプティックにブランドとして初めて挑んだ。

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石やクリスタル、宝石などの硬質素材に浮き彫りや沈み彫りを施すグリプティック。今回の4作品では中央モチーフすべてに用いた。手作業により、わずか数㎜の装飾で表情を生み出した。
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4作品に共通するムーブメントは、針ではなく回転ディスクで時、分、曜日、日付を表示。装飾を妨げずダイヤル全体を表現の場として活かす。 

「作品への敬意と真正性の追求のため、装飾には作品と同じ産地や性質の石素材を使いました。色や粒子までも厳選し、天然石でそれを見つけるまでが大変でしたね。そしてこの分野で最高の職人と協業し、数㎜の厚さに微細な沈み彫りや浮き彫りで陰影を与え、立体感や質感を表現しました」

さらに砂岩の細部表現には、伝統的な工具だけでなく最新のレーザー加工も併用。恒久を象徴する石に手仕事と現代技術を重ね、新たな時の芸術を生み出したのだ。

「作業は、ルーヴル美術館の古代美術部門ディレクターやキュレーターと、メゾンのデザインスタジオ、担当スタッフが常に綿密に連携し、作品の選定から素材、技法の検討に1年、製作に2年をかけました。この間、私たちの絆はより深まり、目指す可能性をさらに広げたのです」

今年メゾンは「あらゆる可能性を探求して」というテーマを掲げ、今後も職人技へのオマージュをさらに展開していくという。技術と創造性の探求を続けるその旅にさらなる期待が高まる。

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多彩な装飾技法で文明ごとの物語を宿した、4本の腕時計

1. メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して - サルゴン2世のラマッス

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メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して - サルゴン2世のラマッス/自動巻き、18KWGケース、ケース径42㎜、パワーリザーブ約40時間、アリゲーターストラップ、3気圧防水、世界限定15本。¥32,780,000

ラマッス像は、アッシリアの王サルゴン2世の宮殿と街を守護する存在として紀元前8世紀につくられた。雄牛、鷲、人間が融合した姿は高さ5mにおよぶ。本作は、イタリア産の石灰質砂岩にグリプティック技法でその姿を表現。背景には羽根のモチーフを彫金し、赤い半透明エナメルのフランケ装飾を重ねた。

さらに、通常はエナメルに用いるシャンルヴェの技法を石に応用し、ゴールドを彫り込んだ窪みに赤と青の天然石をはめ込んだプレートを重ね、外周のフリーズにはゴールドに精細なエングレービングを施した。

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サルゴン2世の宮殿を守護したラマッス像を主題にした一本。石彫やエナメル装飾で、古代アッシリアの力強い造形をダイヤル上に表現する。

 

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半透明エナメルを重ねるフランケエナメルは、下地の陰影を透かし発色を深める(下写真:左側)。本作では、本来エナメルで用いるシャンルヴェ技法を石で応用し、色彩に質感を加えた(下写真:右側)。

2. メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して - アクエンアテンの胸像

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メティエ・ダール ‒ 偉大な文明へ敬意を表して ‒ アクエンアテンの胸像/自動巻き、18KWGケース、ケース径42㎜、パワーリザーブ約40時間、アリゲーターストラップ、3気圧防水、世界限定15本。¥32,780,000

紀元前14世紀にエジプトを統治したアクエンアテン。その胸像は19世紀に発見され、一部でも高さは約135㎝あり、全身像は観る者を圧倒したことが想定できる。そこから、崇める存在としてやや見上げる構図でデザインされた。ベースはレリーフと同じ石灰質砂岩にヒエログリフを刻み、外周のフリーズに当時の襟飾りから着想したターコイズを採用。

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表面に文様を刻むエングレービングによって、王名を記す印である「カルトゥーシュ」を表現。胸像部分と同じ石灰質砂岩にヒエログリフを刻み、古代エジプト文化の象徴性を表現した。

「メティエ・ダール」の詳細はこちら

 


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3. メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して - イシス神殿のテベレ

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メティエ・ダール ‒ 偉大な文明へ敬意を表して ‒ イシス神殿のテベレ/自動巻き、18KPGケース、ケース径42㎜、パワーリザーブ約40時間、アリゲーターストラップ、3気圧防水、世界限定15本。¥32,780,000

1512年にローマの神殿跡地から発見されたテベレ神の大理石像がモチーフ。斜め前からの表情と手に持つ豊穣の角をデフォルメして構成した。グリプティックの対向には、シャトゥール遺跡で発見された2世紀後半のモザイクに着想を得て、花々の装飾をマイクロモザイクとミニアチュールペイントで表現。外周のフリーズはMOPにエングレービングを施した。

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ジャスパー、クリソコラ、オパーリンの小片を色と形状を見極め配置し、花々をマイクロモザイクで再現。背景には粒状の質感を表現した金箔を半透明エナメルで覆い、繊細な輝きを添えた。


4. メティエ・ダール - 偉大な文明へ敬意を表して - ヴェッレトリのアテナ

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メティエ・ダール ‒ 偉大な文明へ敬意を表して ‒ ヴェッレトリのアテナ/自動巻き、18KPGケース、ケース径42㎜、パワーリザーブ約40時間、アリゲーターストラップ、3気圧防水、世界限定15本。¥32,780,000

モチーフになった「ヴェッレトリのパラス」の大理石像は、紀元前430年頃にギリシャでつくられた作品のローマンコピー。大理石のグリプティックに、背景にはストーンマルケトリで3頭の馬を描く。フリーズは、イエローゴールドにレースのようなブラックのシャンルヴェエナメルを施し、さらにエングレービングしたホワイトゴールドの二重で構成。

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素材片を組み合わせて絵柄を描くマルケトリ。本作では、オニキスとムーカイトによるストーンマルケトリで馬の姿を表現し、ミニアチュールペインティングで細部を描き込んだ。

ヴァシュロン・コンスタンタン

TEL:0120-63-1755
www.vacheron-constantin.com

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