1833年の創業以来、革新的な機構によって時計史を切り拓いてきたジャガー・ルクルト。マーク・ニューソンとの協業から生まれた新作群には、メゾンに受け継がれる“発明家精神”が息づいていた。
●デザイナー 1963年、オーストラリア生まれ。家具から時計、航空機まで幅広い分野で活躍するデザイナー。2008年よりジャガー・ルクルトと協業し、アトモスシリーズをはじめとした独創的な造形と高度な技術を融合させた作品を発表している。
ジャガー・ルクルトはミラノの歴史的邸宅を舞台に、マーク・ニューソンとの展示『The Perpetual Timekeeper』を開催。2008年から続く彼との協働のもと誕生した3つの新作を公開するとともに、メゾンの歩みを振り返った。
温度差によって、半永久的に駆動する置時計

1928年に発明された置時計「アトモス」は、大気の温度変化を動力源に半永久的に動き続ける機構を備え、ジャガー・ルクルトの“発明家精神”を象徴する。今回、マーク・ニューソンが手掛けた「アトモス・デザイナー 568 by マーク・ニューソン」は、バカラのクリスタルケースを採用した。有機的なフォルムの中にムーブメントが宙に浮かぶかのような軽やかさを与えている。
もうひとつの新作「アトモス・ハイブリス・アーティスティカ・テルリウム by マーク・ニューソン」は、複雑機構をガラス製の天球儀に収めた。「着想源は宇宙。地球もまた宇宙の一部」と彼が語るように、ドームに配された539個のサファイアが星座を描き、中心で地球を模した時計が時を刻む。人類が再び宇宙へ視線を向ける時代に触発されたと言う。
旅を重ね時をともに刻む、新たなトラベルウォッチ

さらに注目を集めたのが「メモボックス・トラベルクロック by マーク・ニューソン」だ。
1930年代から培ってきた携行時計の系譜を再解釈したモデルで、軽量なチタンケースと革製ポーチを組み合わせ、携帯性にも優れる。
「人生に寄り添い、時代を超えて受け継がれることを意識しました」とマーク・ニューソン。
“記憶の声”を意味する「メモボックス」は、1950年に誕生した機械式アラームウォッチの名作として知られるメゾンの代表作だ。
その精神を受け継ぎながら機能と造形を現代的に磨き上げた本作は、伝統にニューソンの美意識を重ねた象徴的な作品となった。
