【京都旅のヒント】広大な「京都御所」の見どころは?奥の庭園にある幻想的な橋に行こう!

  • 写真・文:一史
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「京都御所」の御所とはすなわち、天皇家の住居のこと。
明治時代に東京に住まいが移される前の、平安京の時代まで遡る広〜い敷地です。
ここがなんと無料で参観できることをご存知でしたか??
造られたときの思想も含め、日本の様式美の頂点に立つともいえる建築と庭を、誰でも気軽に体感できるのです!

平安京は中国(当時は唐)の影響が色濃い建物が中心だったようです。
ところが御所は日本古来の様式を踏襲して、ヒノキの樹皮を重ねた屋根の「檜皮葺(ひわだぶき)や、木の素肌をそのまま活かした「素木造り(しらきづくり)」にしたらしく。
つまり世相のトレンドを横目に、「いやいや、日本はこれでしょ」とスタイルを貫いたのでしょう。

なんかもうミーハーに、「カッコいいなぁ」と思ってしまいます。
思想、生活、経済と世界のトレンドに振り回されがちな現代の暮らしを見直したくなっちゃいますね。

さて、ここにお届けする写真は、GW直前の4月下旬に東京から訪れた京都御所の風景です。
実はこれが初めての訪問でした。
これまで行かなかった理由がひとつあるのですが、その話は記事末にて。

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見どころは庭の池をまたぐ橋

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見た瞬間、感動が押し寄せたのがこの橋です。
京都御所は建物もよい、もちろんよいのですが……もっとも心を掴まれたのは、夢の世界から抜け出たようなこの「土橋」にあり。

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「妖精が歩いてそう」と思った風情のある橋。
欄干がとても低く、幅も人ひとりが渡れるほどの狭さ。
小さいのです、全体的に。
欄干の両側から大きくはみ出した苔のガーデニングがファンタジー感をアップ。
道の両端が植物で覆われている木製の橋なんてあります??
(ほかにあるならすみません)
通路に砂利が敷かれているのも、斜面になってるアーチ橋の構造にそぐわないしつらえ。
「原神のコロンビーナが素足で宙に浮かび、ふわふわと渡ったらめちゃ似合う」と、しばし妄想世界に埋没してしまいました。
(RPGゲームやらない人には1ミリも伝わらんわ)

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観光客は橋を渡れません。
通行禁止です。
人の痕跡がない点も、おとぎ話、または遺跡に思えた理由のひとつ。
踏みつけられていないから、通路の砂利からも苔が少し生えてます。
あたかも「踏み入れてはいけない異世界への入口」。

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京都御所のひとつながりになった2つの庭「御内庭(ごないてい)」「御池庭(おいけにわ)」には幾つもの橋があり、大小のどれもが個性的な風情をたたえています。
上の「欅橋(けやきばし)」が代表的なもの。

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こちらも素晴らしかったですね!
欅の材木が朽ちていき、ワビサビの「寂び」を遥かに超えた迫力が目の前に。

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掲載写真は望遠レンズで撮ったもの。
観光客は橋を歩けず近づくことも叶いません。
(先ほど紹介した土橋も同様)
短い距離でダイレクトに眺めたかったですけども。
万が一の損傷を回避するためには仕方ない対処でしょう。

橋を支える橋脚(きょうきゃく)は現在、花崗岩で造られてます。
宮内庁の見解によると、昭和初期(1928年頃)は橋脚も木製で当時の写真が残っているそう。

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庭のさりげない石橋も魅力に満ちています。
京都御所の初期から残っているオブジェクトは、皇室への献上品が多いようです。

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グラフィカルな建物も美の宝庫

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京都御所の建物のエッセンスで、とくに魅力を感じたのはグラフィカルな配色です。
(上写真は檜皮葺の屋根の建物)
茶色×白色という神社仏閣によくある組み合わせに加え、アクセントカラーといえる朱色(と呼んでいいと思うのですが)が印象的でした。
創建当時から現在まで、何が失われ、何が残され、何が修復されたのか?
わたしの乏しい知識では判別できないのですが、いまの姿において美しさを感じるのが茶、白、朱の3色バランスです。

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木材の風合いはそのままに、金属を朱(または赤)に塗っているのがカッコよくて。
銅が緑色に錆びた緑青(ろくしょう)の味わい深さとは異なる品格のある佇まい。
中国伝来の朱色は、魔除けや権威の象徴だったようです。

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この階段と手すりも美しかったですね。
庭を臨むエリアにある建物。
寂れ具合が絶妙で心に響きます。
管理している方々は、塗り直しなどの修復について「どこまでやっていいのか」を常に考え続けているのではないでしょうか。

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「儀式や天皇との対面のために参内(さんだい)した者を迎える玄関である。公卿(くぎょう)・殿上人(てんじょうびと)など、限られた者だけが利用した」
(現地の案内看板より)
そのように説明されている「御車寄(おくるまよせ)」。
つまり皆さんがかつて高貴な人だったなら、
「今日は天皇に会う日だ」と京都御苑を訪ねたとき、この玄関から建物に入ったってことですよ!

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敷地をスマホスナップでざっくりと

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このブログ記事内の建物写真、橋の写真では広大な空間がおわかりにならないですよね。
記録用にスマホスナップしたものを3点ほど載せておきます。

なにしろ……空が広〜い!
高いビルも現代的な何かも、まったく見えない!
なんという没入感でしょう。
京都市内で超アクセスがいい都市部にありながらのこの景観。
(京都駅から最寄りの今出川駅まで電車で10分。タクシーなら15分前後)
景観条例で守られているからこその、非日常な体験の場です。

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ここは記事最初に紹介した土橋がある、御内庭。
建物と緑生い茂る庭との距離が近め。

京都御苑の来観者数は意外なほど控えめでした(GW前の平日)。
理由のひとつは、絢爛豪華な装飾や凝ったしつらえの建物がほぼなく、地味な印象の観光名所だからではないでしょうか。

派手な鳥居が連なる異空間の「伏見稲荷」、日本的「ワビサビ」「風情」「美意識」が狭い敷地にギュッと凝縮されてる「銀閣寺」などと比べると、歴史研究家でもない限りテンションが上がりにくいかも。
わたしはピンポイントで魅力を探したから、しっかり発見できましたが。
海外からの来観者を夢中にさせる要素は限られるかもしれません。

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これまでの京都旅で行かなかったワケとは……

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京都御所は、公園になっている「京都御苑」のなかにあります。
上写真は2025年秋の公園散歩の情景。

以前に初めて公園を訪れたとき、広大さを舐めてました、ぶっちゃけ。
御所への入場門を理解せず公園に入り「そのうち着くだろ」とダラダラと歩いたところ、堀の周囲をぐるりと回らないといけないことに途中で気づきまして。
しかも入口の門にたどり着いたら、なんとその日は参観の休止日。
(月曜が休みなの知らなかった……)
すっかり心が折れてしまいまして。

「いやいや、公園歩きで挫折ってどんだけ体力ないんだよ」と思いますよね。
でも皆さんは、延々と砂利道を歩き続けたことあります!?
公園全体の道が砂利なんです。
サロモンのトレイルランシューズがどんどん重くなっていく。
「タイトな旅なのに、もうほかの神社仏閣やカフェに寄る時間ないじゃん」と泣きそうになるわ、トイレに行きたいわで困ったことに。
京都御所は「いつか訪れよう」の候補リストにアーカイブ化されてしまいました。

しかし今回の旅では、ちゃんと下調べしてルートを決定。
入場門近くの最寄りである今出川駅に電車で移動し、最小限の歩きで御所内へ。
それでも公園も御所内も砂利道ですから、すべて巡り歩くのはそれなりの時間を要しました。
この記事を見て興味を抱いた方々は、どうぞ旅の時間配分を計算しつつお愉しみください!

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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