〈立体音響スピーカー〉
KAJIMA OPSODIS 1 鹿島 オプソーディス ワン
ゼネコン大手の鹿島建設が開発した立体音響スピーカー「オプソーディス ワン」が、クラウドファンディングで大ヒット。支援額9億円超を達成し、日本企業単独では史上最高額を記録。その勢いに乗って、3月から一般発売に踏み切った。流行のサウンドバーはどれも、2チャンネルで入った信号をマルチチャンネルの立体音響に変換・拡張するが、その効果の高さと、質のよさでは、本スピーカーが断トツだ。
なぜ鹿島建設なのか。同社社員が社会人留学した英国サウサンプトン大学と共同発明し、特許を獲得した立体音響再生技術「オプソーディス」を社内で披露したところ、たいへんな評判を呼び、同社としては稀有な消費者向け商品としてつくったのである。
人が最も自然な立体音響が聴けるのは、〝バイノーラル再生〟だ。これは、顔形オブジェの鼓膜の位置で録音した音源をヘッドホンで再生すると、リアルな没入感のある音が聴けるというもの。
オプソーディスとは、ヘッドホンではなく、スピーカーによるオープンな空間でバイノーラル的に再生する技術だ。ヘッドホンでは左右の音が完全に分離されて耳に入るが、スピーカーでは左右の音が空間で混ざってしまう。この混ざり成分をカットする技法が、オプソーディスの根幹だ。
さらにスピーカーの位置を感じさせずに音が拡散する、〝ステルス性〟にも留意した。アンプの信号処理によって左右のスピーカーから出た音が両耳にどう届くか制御し、スピーカーの存在を〝消す〟
のだ。これで、2チャンネルの音源であっても、音の中にある空間情報を引き出して、圧倒的な立体音響を再現するのだ。
クラファン最高記録の樹立は、むべなるかなである。
麻倉 怜士
デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。OPSODIS 1 カスタマーセンター
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