YOSHIROTTEN:今日はノリがいないんですけど、つい3月14日にオープンしたばかりの「原宿クエスト」地下のイベントスペース 「THE HALL 」で、インスタレーションを開催中の現場からお送りいたします。
──期間限定のインスタレーションですが、このスペース自体の構想はいつから進んでいたのでしょうか?

YOSHIROTTEN:僕が「原宿クエスト」のロゴデザインをして納品したくらいのタイミングで、この地下スペースを面白い場所にしたいって NTTさんから相談されて。それなら「en one tokyo」に頼むのがいいなと思って提案しました。彼らはクラブ「不眠遊戯ライオン」だったり「TOKYO BURNSIDE」や「麺散」っていう飲食店もやりながら、アートギャラリー「BA-TSU ART GALLERY」と「The Mass」などの運営もやってるんで、原宿のなんだろう、一つの街作りをしてるチームだと思うから、それがまたここに起きたら面白くなるんじゃないかて思ったんですよね。
かつ、こんな大きい規模でのっていうのは彼らもやったことないから、やってみてもらえるんじゃないかなって思って。社長のMANTAに相談したらやろうって言ってくれて。 半分が岡田シゲルが仕切るレストラン「THE TUNNEL」で、残り半分がイベントスペース「THE HALL」です。

YOSHIROTTEN:「THE HALL」も、ロゴデザインをしたんですけど、ここの 2つの柱がすごい特徴的な空間だったんで、それをあしらったロゴデザインにしてます。
──どのようなコンセプトでインスタレーションを制作しましたか?
YOSHIROTTEN:「en one tokyo」と話す中で、こけら落としをやろうということになって。改めて原宿ってどんなとこなんだろうと考えた時に、とことん何かに打ち込んで追求して何かが生まれた孤独の部屋と、そこから出て、友達と共有して何か始める、お店でもブランドでもパーティーでも飲食店でもいいんだけど、いわゆる原宿のカルチャーとかストリートって言われてるものたちが生まれてきた両面を持った場所なんじゃないかなと。 原宿って場所自体がそういうことが起きやすい装置だなって思ったんで、それを体現できるインスタレーションを目指して制作を始めました。
──よしろーさんも10代〜20代は原宿で過ごすこと多かったですか?
YOSHIROTTEN:実際に僕も18歳からはずっと原宿にいました。学生時代からフラフラして、自分のイベントのフライヤー配ってたり、最初に就職したデザイン会社も裏原にあったり、その後独立して作ったスタジオも原宿だった。そのルーツを踏まえても今回はやる意義があると思いました。
──18時からは「THE HALL」と「THE TUNNEL」の間のシャッターが開いて、毎日イベントがやるそうですね。
YOSHIROTTEN:12時から18時までは孤独の部屋として「THE HALL」でインスタレーションを体感してもらって、夕方18時からは真ん中のシャッターが開いて、隣の飲食店と繋がって友達とワイワイできる空間に変わります。会期中は毎日18時からいろんな原宿に関わる人、レジェンドから若い人たちまでパーティーをやってもらってます。すごいメンツが集まったんです。
──いま言える範囲でどんな人たちが集まったんですか?
YOSHIROTTEN:オープニングは、野村訓市プレゼンツでHIMIがライブをしてEZさんがDJ。初日はギャラリーターゲットのプレゼンツでやってくれて、永井博さんやKYNE、昨日は紗羅マリーのキュレーションでNENEちゃんとアレック、あとSAMOらがDJ してくれたり。今日はMAGIC STICKプレゼンツでDJ WATARAIさんとかMAGARAさん、YOPPIさんなど、原宿の大先輩たちがプレイしてくれてます。 明日は僕とMITSUKIのプレゼンツで川辺ヒロシさんやYAMARCHYとP-yan、る鹿のライブやDJ HEYTAさんがシークレットでプレイしてくれたり。ほかにもBEATINCやsacaiプレゼンツの日とか、本当に29日まで毎日さまざまな面白いDJプログラムが開催されてます。
まさに、リアルに街で起きている原宿のB面を体現するようなイベントになる予感です。毎日のラインナップはこちらで公開されているのでぜひチェックしてみてください。
Instagram@the_hall_harajuku


──インスタレーションでは、柱を大胆に使っていますね。
YOSHIROTTEN:会場は地下だから外の光は入ってこないんだけど、「原宿クエスト」のビルの上に分光器を置いて、外の光の状況をダイレクトにリアルタイムで反映した巨大な LED パネルが柱を突き抜けるような形で展示しました。 外の光の状況を見ることができるような。壁には、分光器で可視光線、赤外線、紫外線の値を可視化するっていうスペクトルデータを使った平面作品を展示しました。
事前に記録したデータをもとにアルミハニカムと言う宇宙に持っていける素材にもプリントしていて、その場所にしか現れない光の絵画になっています。
──SUNの新展開としてゲームも作ったんですね。
YOSHIROTTEN:「SUNBIENT GAME」っていう毎日変わる色彩が反射されたシルバーの太陽の下、その世界の中でただ歩いたり走ったりするだけのゲームです。 カモメのジョナサンになれたり、クマになれたり。 新しいゲームの形を提案してます。


YOSHIROTTEN:これは 4ヶ月で作ったデモ版として、ここでプレイすることができます。いずれ製品化したいなと思ってます。
あとね、ゲームする時にくつろげるソファとかもビーズクッションも友人の江幡コウシローに作ってもらいました。コロコロしてて可愛いです。
こんなのあったらいいなと言うアイデアを友達に渡したら作ってくれるっていう、まさに “原宿らしい”を実際にできた空間だったと思います。

YOSHIROTTEN:三宿の「ピンクノイズ」っていうヴィンテージのアルテックを置いてあるスピーカーのお店に僕はよくレコードを持って通ってて。そこのスピーカーを持ち込んで、ちょっと独自のDJブースを作ってみたり。 あとは奥には興味があったアグリテックを設置してます。太陽が当たらなくてもRGBライトでの栽培キットを作ってる横浜の「キーストーンテクノロジー」っていう会社から買って、オリジナルのデザインのものにしたものです。そばスプラウトとか食べれる花とか、いろんな野菜を育てて、隣の食堂で出そうっていう企画です。
あと、 18時までの孤独の部屋で空間に流れている音は、その野菜たちから電気信号を通してモジュラーシンセで音楽を奏でています。これは、大谷のプロジェクトで制作中に宇都宮のバーであったWAC loungeさんとの出会いで実現できました。

──でも確かに原宿で遊べる場所がなくなっちゃってるなっていうのは体感としてあって。今回のようなプロジェクトが出来たことは次世代の希望にもなり得そうと思いました。
YOSHIROTTEN:そうだね、街で遊んでる人が街を面白くするんじゃないかなと思ってて。東京らしい場所なのかとか、世界の人がそこに行きたくてやってくるみたいなことが起こるのかって。結局みんなゴールデン街行くとか、雑居ビルに入っていく世界が好きだったりするんだったら、僕は東京の街のそういう所を大事にする一面があっても良いんじゃないかって思うことがあるんです。
新しい開発が良くないとかじゃなくて、そういうところにその街で遊んでる人たちの意見を取り入れて、思いっきり作ってみるエリアを設ければいいと思うんですよね。そうすると何か見えてくると思うし、遊んでた人たちがいなくなると街は面白くなくなるから、遊んでる人たちが遊んで新しい遊び場を作れればなあって思って今回実験的に作ってみた。17日間だけの遊び場、ぜひ遊びに来てください。
──遊ぶってワードがたくさん(笑)

会期:2026年3月14日(土)〜3月29日(日)
会場:原宿クエスト 地下 THE HALL & TUNNEL(地下1階)
住所:東京都渋谷区神宮前1丁目13-14 B1
スケジュール:インスタレーション/12:00〜22:00
DJプログラム/18:00〜22:00
この「Quiet Underground: Energy, Sound and Time」では、原宿で生まれた創造の物語、そしてYOSHIROTTENが「THE HALL」の地下空間から受けたインスピレーションを1つの空間として再構成します。
原宿の歴史を育んだ様々な部屋ー孤独に何かに打ち込む精神的な場であり、友人と遊びながら共に創造する拠点となるーそれは2面性のある空間であり、私的な時間やアイデアが社会に繋がり文化になる瞬間を作り出す装置でした。
YOSHIROTTENの解釈による「新しい感覚や出会いを生み出す原宿の地下室」、それが〈Quiet Underground: Energy, Sound and Time〉です。会期中の夕方からは毎日「THE HALL」が「THE TUNNEL」と繋がり、原宿や本展と縁のある人々がお気に入りの音楽をプレイします。この期間だけの実験的な試みをぜひお楽しみください。

グラフィックアーティスト、アートディレクター
1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。
Official Site / YAR
1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。
Official Site / YAR
