18世紀に考案された、親時計(クロック)が子時計(ウォッチ)を癒やすように時刻を合わせ、巻き上げるという夢の機構「サンパティーク」。それを現代のテクノロジーと美学で完璧に再構築してみせたのが、ルイ・ヴィトンとドゥ・ベトゥーンによる「LVDB-03 LOUIS VARIUS プロジェクト」だ。
ルイ・ヴィトンのウォッチメイキングが、またひとつ高い次元へと昇った。独立系時計師との協業プロジェクト第3弾となる「LVDB-03 LOUIS VARIUS プロジェクト」は、現代の「レオナルド・ダ・ヴィンチ」と称されるドゥ・ベトゥーンのデニス・フラジョレを迎えた、まさに夢のコラボレーションである。
発表されたのは、「LVDB-03 GMT ルイ・ヴァリウス」という腕時計。まず目を奪われるのは、美しい「青」だ。ドゥ・ベトゥーンの代名詞である熱酸化処理されたブルーチタンの「タンブール タイコ」ケースは、深遠な宇宙そのものにも見える。ダイヤルにはホワイトゴールドのピンと金箔で描かれた天の川が広がり、そこには「LV」の文字が星座のように隠されている。ルイ・ヴィトンが掲げる「旅の真髄(こころ)」と、デニス・フラジョレが追求する天文学的な時間の概念が、完全にシンクロした証である。
裏を返せば、その技術的頂点が露わになる。搭載されるキャリバーDB2507LVは、ドゥ・ベトゥーンの技術とルイ・ヴィトンのサヴォアフェールが融合した傑作だ。ブリッジには「コート・ドゥ・ベトゥーン」と呼ばれる現代的な装飾が施され、ムーブメントには「Louis cruises with Denis(ルイはデニスとともに旅に出る)」という、なんとも粋な言葉が刻まれている。だが、この時計の真価は、単体で語ることはできない。
このプロジェクトの核心は、時計を「トランク」に納めた瞬間に訪れる。専用のクロック「LVDB-03 サンパティーク・ルイ・ヴァリウス」にウォッチをドッキングさせると、まるで魔法のような対話が始まるのだ。リューズを介してクロックがウォッチを自動で巻き上げ、1日12回、正確な時刻へと調整する。旅から戻った旅人が家で休息を取るように、時計もまた、この母なるクロックの腕の中で活力を取り戻すのである。
クロックそのものもまた、芸術品と呼ぶにふさわしい。フランソワ・スクイテンが描いた蒸気機関車や気球といった幻想的な旅の情景が、ミシェル・ローテンの彫刻によって命を吹き込まれている。このクロックとウォッチの関係性は、「携帯する時間」と「回帰する場所」という、旅の哲学そのものを体現していると言っていい。
デニス・フラジョレという天才と、ルイ・ヴィトンというメゾンの出会い。それは18世紀の夢を21世紀の技術で正解へと導いた、時計史におけるひとつの到達点である。