ルーマニア
ネオンの光が照らす巨大空間に観覧車がそびえ、静かな地底湖にはボートが浮かぶ。ルーマニアの「サリーナ・トゥルダ」は、2000年以上の歴史を持つ塩鉱山を改装。幻想的なテーマパークへと生まれ変わった秘密の空間だ。
地下120mに広がる幻想的な空間
巨大な地下空間へと降り立てば、ネオンの光が照らし出す観覧車がそびえ立ち、静かな地底湖にはボートが浮かぶ——。ルーマニア・トランシルヴァニア地方の町トゥルダにある「サリーナ・トゥルダ」は、地下約120メートルに広がる幻想的なテーマパークだ。元々2000年以上の歴史を持つ塩鉱山だったが、近未来的なアミューズメント空間へと生まれ変わった。
薄暗いトンネルを抜けて地下へと降りていくと、ひんやりとした空気が肌を包む。やがて目の前に広がるのは、イルミネーションに彩られた巨大な洞窟空間だ。
米旅行メディアのアイランズは、観覧車や、しっかりと暖房の付いた座席で楽しめる円形劇場、そしてスポーツコートに、卓球台、ボウリング場、ビリヤード台などなど、数多の施設を挙げる。地底湖を巡るボートや、ミニゴルフのコースも人気だ。子ども向けの遊び場もあり、家族連れでも一日中楽しめる。
世界唯一の地下アトラクション
その壮大さと美しさは、国際的にも高く評価されている。米ビジネスインサイダーは、「世界で最も美しい地下空間」に選出している。
多彩なアトラクションがそろうこの施設について、サリナ・トゥルダの公式サイトは「世界で唯一の場所」とうたう。家族連れから高齢者まで誰もが楽しめ、くつろぎながら健康的なアクティビティに汗を流す。訪れた人に特別なひとときを届けてくれる空間だ。
サリナ・トゥルダ塩鉱山の公式サイトによると、観覧車の高さは20メートル。地下で稼働するものとしては世界唯一だという。ゴンドラが一番上まで上がれば、塩の結晶がきらめく広大な地下空間を見渡すことができ、かつての採掘場として稼働した空間の壮大さを肌で感じることが可能だ。
公式サイトによると、円形劇場には暖房完備の座席が180あり、ショーや映画上映が定期的に行なわれている。地下とは思えないほど快適に楽しめる空間が、国内外からの旅行者を魅了する。
2000年の歴史を持つ塩鉱山
華やかなアトラクションが広がるこの施設だが、その歴史は2000年以上に及ぶ。旅行メディアのリースによると、サリナ・トゥルダは人類史上最古の塩鉱山のひとつだ。保存状態の良い坑道が、古代の採掘の様子を今に伝えている。
この地では塩の採掘が古代から行われており、ローマ帝国の支配下で規模が拡大した。当時、労働者たちは原始的な道具を手に、塩を掘り出していた。
つるはしやハンマー、ノミ、鋼鉄のくさびを使った手作業で行われ、働き手は奴隷ではなく自由民だった。報酬にはフローリン金貨やエール、パンが充てられたという。
1932年に閉山したが、鉱山の役割はそこで終わらなかった。第二次世界大戦中は防空壕として市民を守り、戦後はチーズの貯蔵庫としても使われた歴史がある。
周辺観光も充実
そして現在、この空洞はテーマパークとして新たな命を吹き込まれ、そのユニークな景観で話題を呼んでいる。バリアフリーに配慮されたエレベーターや専用の入口が用意されており、誰もが安心して楽しめる。
隣接するドゥルガウ塩湖もぜひ訪れたい。9世紀から保養地として親しまれ、塩分を含んだ湖水がリウマチや血行不良に効くとされる。地下テーマパークの興奮と、静かな湖畔での療養を同時に楽しめるのも、この地ならではの魅力だ。
自然が好きなら、近隣のトゥルダ渓谷まで足を延ばすのもおすすめだ。切り立った石灰岩の峡谷が広がり、ハイキングやバードウォッチングの愛好家が集まる。
地下の幻想的な空間と、地上に息づく豊かな歴史。東欧・ルーマニアに位置するトゥルダの町は、確かに日本からはいくぶん遠い。それでもいつかは訪れたいと思わせてくれる、美しく魅力的な旅先である。 ---fadeinPager---
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