潮の香る海辺から深い山間まで、多彩な風土を抱く三重県。その豊富な自然資源に加え、焼き物や織り物などに代表される手仕事、さらには四日市を中心とした産業技術が折り重なることで、長年にわたって独自のものづくり文化を育んできた。近年は、廃材を価値に変えるアイデアや環境に目を向けた生産方法など、時代のトレンドを取り入れ、新たな商品を開発する事業者も誕生しつつある。
そこで今回、県内の事業者が現代のライフスタイルに合う商品開発と発信に挑むのが「みえ手仕事プロジェクト」だ。新しい需要をひらきながら、三重の伝統と技を未来へつないでいく。ここからは、新たな挑戦から生まれたアイテムの数々をたどっていこう。
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みえ手仕事プロジェクトとは
三重県の歴史あるものづくり文化を未来へと継承するべく、県内の事業者たちが新たな商品開発をおこなうプロジェクト。商品開発の専門知識を持つアドバイザーたちとともに、現代のライフスタイルや消費者ニーズをとらえた商品開発を行った。前年まで実施されていたオール三重プロジェクトに続き、2025年から新たにスタート。1回目となる今回のプロジェクトには、全7事業者が参加している。
2026年1月31日(土)〜2月1日(日)、3月14日(土)〜15日(日)に、それぞれ展示販売やワークショップなどのイベントを開催予定だ。
1. ゴロ【 蒼築舎 】
国産粘土100%の土を用いて、日本古来より伝わる土壁の左官職人が、ひとつずつ手で形づくったアロマディフューザー。焼かずに仕上げることで、土が本来もつ“呼吸する”性質を損なわず、放湿性を活かしてアロマの香りをやわらかく空間へ広げてくれる。自然石を思わせるミニマルなかたちも美しい。壁としての土壁が減っていくいま、その魅力を「モノ」として暮らしのそばに置き直す発想もユニークだ。
2. テルラ プラント【 蒼築舎 】
法隆寺などの建築にも用いられてきた「版築(はんちく)」の発想を、小さな器へ落とし込んだ土壁製のプランター。国産の土・砂・砂利を調合し、重ねて締め固める工程がそのまま表情となって、地層のような層と粒子感を生む。植物を挿したときに主張しすぎず、それでいて確かな存在感で瑞々しさを引き立てるのが魅力だ。外側にはガラスコーティングを施し、日常使いにも耐える仕上げに。一輪挿しタイプと鉢タイプの2種展開。
版築に着想を得た層のグラデーションが、植物の輪郭に奥行きを与え、空間さえも整えてくれる。ともに¥4,620(税込)/蒼築舎
3. 厄除けしめ縄かばん【 宮忠 】
伊勢地方でしめ縄用に育てられた稲藁を老舗神棚・神具店の職人が、自らの手で編み上げた「身につけるしめ縄」。編みかばんの軽やかな佇まいに、伊勢しめ縄で用いられる紙紐(パールロープ)を組み合わせ、日々の道具として持ち歩ける形に落とし込んだ。チャームには、伊勢神宮の御用材と同じ木曽檜に彫られた「蘇民将来子孫家門」の御守り札を採用。魔よけや無病息災のご利益をもたらしてくれる。

4. モノティ・クージーバッグキット(仮)【 クラフトアルマジロ×神戸ザック 】
サーキットのイベント会場で聞かれた「お気に入りのカップを持ち歩きたいのに置き場がない」「もっとたっぷり飲めるサイズが欲しい」。そんな声から生まれたのが、チタンカップとクージーバッグ、ミニバッグをセットにした持ち運べるマイカップセット。チタンカップ「モノティ(MonoTi)」は、マーベリックのバイク用チタンマフラーのイメージを反映した精密な溶接跡と、マフラー由来のスプリングフックを取り入れた無骨なディテールが魅力だ。カップを収めるクージーバッグは登山用ザックメーカー・神戸ザック製で、ゴールドの「KOBE-ZAC」ロゴがアクセントに。

※一重構造のため保温・保冷機能なし。熱い飲み物は不可。飲み物を入れたまま移動するとこぼれるため注意。
5. 御山杉染めショール【 すかや呉服店 】
伊勢の神域・神宮の杜で育った「神宮杉」は伐採が許されず、自然災害などで朽ちた樹齢500年以上の杉のみが“御山杉”として扱われる。その希少な御山杉を植物染料に用い、さらに伊勢の草木で色を重ねたのが「御山杉染め」のショールだ。やわらかな染め上がりは装いにすっと馴染み、絹・麻・綿など厳選した素材の風合いも引き立てる。普段の装いでさらりと纏いながら、自然への感謝や祈りの気配もそっと携えられるはず。気負わず日常に取り入れたくなる一枚。

6. 伊勢ヒノキ守り【 伊勢とこわかや 】
日々の鞄に取り付けて、伊勢の“福”をそっと連れて歩く。そんな発想から生まれたのが「伊勢ヒノキ守り」。これは、伊勢産ヒノキの札に三重の伝統工芸品・伊賀くみひもをあしらったバックチャームだ。お守りのように携えられるよう、木部には神話に由来する伊勢の魔除け「蘇民将来子孫家」の意匠を施し、房飾りには“願いが叶う”といわれる縁起の良い二重叶結びを採用している。組紐は五行思想にちなむ赤・黄・緑の3色を展開し、今後は黒・白も追加予定。

7. 組子のオブジェ(麻の葉組子入りオブジェ・木漏れ灯・ねじり組みオブジェ)【 馬場建具店 】
釘を打たず、細い木片を幾何学に組み上げる「組子」は、障子や襖を通して日本の住まいに息づいてきた技のひとつ。全技連マイスター認定を持つ建具のプロがつくるのが、組子の陰影を楽しむための行灯を思わせる美しいオブジェ。和洋どちらの部屋にも溶け込み、窓辺や間接光の近くに置けば格子の表情がいっそう際立つ。


8. 「真珠貝をあしらった夫婦岩」美術額【 境工芸社 ×木工内海屋 シンガロング】
2016年のG7伊勢志摩サミットで、各国首脳に贈呈されたひとつに伊勢志摩を象徴する“真珠貝の工芸品”がある。世界で唯一の真珠貝工芸の担い手である境工芸社が、伊勢・二見興玉神社の夫婦岩をモチーフに仕上げた一点もののフレーム作品が登場。志摩ならではの真珠貝を手作業で加工。額縁は神戸家具の系譜を親子二代で受け継ぐ木工内海屋 シンガロングが担当。サイズははがき大で、リビングの棚や玄関の壁などの視線の高さにそっと置けるのもポイントだ。

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三重のいまを知る、数々のイベント
三重が誇る伝統工芸品や地場産業の商品を紹介するイベントが、1月から3月にかけて東京で開催される。そのひとつが、1月31日(土)、2月1日(日)に「無印良品 銀座」で開催される「つながる市 みえ手仕事PROJECT 編」。同イベントでは、今回の「みえ手仕事プロジェクト」に参加した7事業者の開発商品のほか、三重グッドデザインに選ばれた事業者の商品も一部販売。また、ワークショップも行われる予定だ。リアルな三重のものづくりを、その目で確かめてほしい。
無印良品 銀座
住所:東京都中央区銀座3-3-5
会期:2026年1月31日(土)〜2月1日(日)
TEL:03-3538-1311
【本イベントではワークショップ参加者を募集中!】
詳細およびお申し込み方法は、下記の無印良品公式サイトをご確認ください。
三重テラス
住所:東京都中央区日本橋室町2-4-1 YUITO ANNEX 1F・2F
会期:2026年3月14日(土)〜3月15日(日)
TEL:03-5542-1035
【※詳細については後日追加】