【砂漠に鷹の翼】構想18年、アブダビに現れた“異形の建築”「ザイード国立博物館」が美しすぎる

  • 文:宮田華子
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ABU DHABI アブダビ/アラブ首長国連邦(UAE)

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Image courtesy of Zayed National Museum

アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビに、ザイード国立博物館(Zayed National Museum)が開館した。UAE建国の父である故シェイク・ザイード・ビン・スルタン・アール・ナヒヤーンの名を冠する国立博物館であり、国の歴史と文化を体系的に示す中核施設として構想された。

初めて計画が公表されたのは2007年。完成までに長い時間を要したプロジェクトが、ついに現実の建築として姿を現した。

計画発表から18年を経て実現した国家プロジェクト

完成までに18年もの年月を要した理由は1つではない。ザイード国立博物館は、単なる展示施設ではなく、国家のアイデンティティを体現する象徴的存在として位置づけられてきた。そのため建築デザイン、展示内容、立地計画のすべてにおいて慎重な検討が重ねられたのだ。

 

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Image courtesy of Zayed National Museum

加えて、博物館が建設されたサディヤット文化地区は、ルーヴル・アブダビやグッゲンハイム・アブダビなど、複数の国際的文化施設が集積する大規模開発エリアだ。地区全体の進行状況やインフラ整備との調整も、スケジュールに大きく影響した。

また高温多湿という厳しい自然環境の中で、象徴性と環境性能を両立させる建築技術の検証にも時間が費やされた。

「鷹の翼」をかたどった5本の塔が象徴するもの

外観で強い印象を残すのが、UAE文化の象徴である「鷹(ファルコン)の翼」をモチーフにした5本の塔だ。鋼鉄で構成されたこれらの塔は、空へと舞い上がる鷹の姿を想起させ、サディヤット島のスカイラインに鮮烈な輪郭を刻む。

 

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Image courtesy of Zayed National Museum

鷹はシェイク・ザイードが生涯にわたって愛した存在であり、勇気や誇り、先見性を象徴する動物としてUAE文化に深く根付いている。そのモチーフを建築に昇華することで、博物館は展示以前に「語る建築」として機能する。遠景からでも一目で識別できる造形は、国家的ランドマークとしての役割を明確に示している。

Foster+Partnersが示した建築と環境技術の統合

設計を手がけたのは、ノーマン・フォスター率いる「Foster+Partners」。象徴的な造形と同時に、環境性能を重視した建築として計画された点も本館の大きな特徴だ。5本の塔は視覚的アイコンであると同時に、内部の熱を排出するサーマルチムニーとして機能し、自然換気を促進する。

展示空間の多くは地表から低い位置に配置され、外気温の影響を抑える構成が取られている。高性能ガラスや断熱構造と組み合わせることで、砂漠気候に適応したエネルギー効率の高い建築を実現した。

 

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Image courtesy of Zayed National Museum

 

象徴性、機能性、持続可能性を同時に成立させるという難題を越えて誕生したザイード国立博物館。今後、サディヤット地区における主要施設のひとつとして、またUAE文化政策や都市開発の中核を担う存在となるだろう。

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Image courtesy of Zayed National Museum