LONDON ロンドン/イギリス
昨年の12月下旬、ロンドン市内でバンクシーの新作と見られる壁画2作が相次いで発見された。
最初に確認されたのは、ロンドン中心部のビル「センターポイント」周辺で、12月19日ごろには現地で目撃され、SNSを通じて作品が拡散された。その数日後の12月22日、ロンドン中心部からやや西にあるベイズウォーター地区でも、まったく同じ絵が描かれていることが明らかになった。
12月22日、バンクシーは自身のインスタグラムを更新し、ベイズウォーターの壁画を自作として公開した。しかし、先に発見されていたセンターポイントの作品については言及していない。この「時間差」と「沈黙」が、今回の新作を読み解く上で重要な要素となっている。
12月19日と22日、2つの発見
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センターポイントの壁画は、12月19日ごろに確認された。場所は、現在ホームレス支援チャリティの拠点として知られる建物の周辺である。場所の特性から、当初はこの作品がバンクシーの新作ではないかとの見方が強まった。
一方、12月22日に発見されたベイズウォーターの壁画は住宅地の中に位置し、象徴的なランドマーク性は低い。同日中にバンクシー本人がインスタグラムでこの作品を認めたことで、公式に確認された新作として扱われることになった。
センターポイントに触れない理由
現時点で、バンクシーがセンターポイントの壁画について自作と認めた事実はない。BBCやガーディアンなど主要メディアも、本人はこの点について沈黙を守っていると伝えている。
理由について断定的な説明は存在しないが、センターポイントが公的施設であり、管理や法的配慮が必要な場所である点が指摘されている。バンクシーは過去に、場所の性質によっては自作であることを明言しない対応を取ってきた経緯がある。
また、同一の絵が2か所に存在する状態そのものを、あえて「ミステリー」のまま残している可能性も考えられる。どこまでを「公式」とするのかを明確にしない姿勢そのものは、制度や権威から距離を保ってきたストリートアートの性格をよく表している。
クリスマス直前というタイミング
どちらの壁画も発見されたのはクリスマス直前だった。お祝いムードと消費が街を覆う時期に、ホームレス問題や子どもの貧困を想起させる絵が置かれた。
強いスローガンや感情表現はないものの、その存在は多くの人々の関心を集めている。