ノルウェー
サウナと言えば発祥の地フィンランドを思い浮かべるが、実はノルウェーでも非常に人気が高いという。ユニークなサウナが続々誕生しているが、その中でも地元の大学生たちが手掛けた浮遊式サウナが、芸術性と機能性で異彩を放っている。
お題は浮遊式サウナ。わずか2週間で完成
「ウォーターケイブ」は、ノルウェー南東部の森林地帯にある家族経営の農場「オパカー・ゴール」の中につくられた。この農場は、持続可能性、地産地消、コミュニティを理念とするエコファームで、自然と文化、スローライフが交わる拠点となっている。2025年8月に開催されたこの農場でのワークショップに、地元の大学生集団「ラバガスト・スタジオ」が招待された。農場は、来場者と地域コミュニティが集い、ゆっくりと森の湖の静けさを楽しめる場所を求めていたという。そこで学生たちには、「敷地内の湖に浮かぶ土台の上に6人用の浮遊式サウナを設置せよ」という課題が与えられた。農場側が求めていたのは、実用的かつ芸術的な、小さな建築作品を創造することだったという。
学生たちは、このプロジェクトにおいてすべてを担当することになった。まずクライアント側との 4 日間に渡る対話と試行錯誤を経て、最終デザインを決定。その後作業に集中し、最初のスケッチからわずか 2 週間で作品を完成させた。
伝統と新技術を融合した、安らぎの空間
出来上がったのは、微妙な角度でねじれた四角形のデザインだ。建物自体は森の国ノルウェーらしく木材のみでつくられているが、断熱には航空宇宙用に開発されたエコ素材、Low-E ガラスを採用。北欧の木造建築の伝統に、宇宙時代の新技術を組み合わせている。
外装には、余ったパネルを利用した。丹念に板状に切り出して建物の外観に質感とリズムを加えており、即興的ながらも、丁寧な仕事ぶりがうかがえる工夫だ。内部の壁は、焦がし加工と亜麻仁油で仕上げを施した暗色のパネルで覆い、深く包み込むような温かさを醸し出している。室内に設置された明るい色のポプラ材のベンチとは対照的だ。内部照明は最小限に設定。薪ストーブの炎、窓から入り込む光、そして窓の外の水面に映る光の反射のみが光源となっている。窓は1つだけで、意図的に極めて低い位置に置き、湖と森を完璧にフレームに納める設計にした。外から内へ、冷から温への移行というサウナ体験をさらに充実させる、心休まる空間が出来上がっている。
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経験ゼロからの建設、サウナを超えた新たな聖域
このプロジェクトの成功は、集団の努力と学びの力の証明でもある。建設に関わった16名の学生の多くには、実は大工仕事の経験がほとんどなかったという。精密さ、忍耐、そして集団での問題解決が要求される作業の一つ一つの過程を乗り越えた結果、水の上に軽やかに浮かぶ小さな聖域が誕生した。それは単なるサウナを超え、温もりと水が出会い、技術と自然、そしてコミュニティが調和して共存できる場だ。
Webライター
早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。
早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。







