【京都の注目コーヒー店】富ヶ谷の人気ショップ「フグレン」がオープン。 地元と観光客が自然に交わる、新しい“集まる場所”

  • 文・写真:山田泰巨
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日本各地で次々とコーヒーショップがオープンしている。いや、日本に限った話ではない。今年の出張先で言えば、ソウル、コペンハーゲン、そしてインドネシアのバリと、どこにでも気が利いていて美味しいコーヒーショップがある。2025年最後の取材も東京のとあるカフェだった。

そんな状況下でも、東京・富ヶ谷の「フグレン」には群を抜いて世界中からツーリストが集う印象がある。1963年にノルウェー・オスロで誕生したコーヒーショップで、日本には2012年に初出店を果たした。当時はいまほど人気ではなかったエリアの古い木造住宅をリノベーションし、ほとんど知られていないノルウェーのヴィンテージ家具を持ち込んだ。彼らがコンセプトに掲げるのは「コーヒー、カクテル、ビンテージデザイン」。コーヒーが美味しく、心地よくて友人との話が弾む。遊歩道に面したベンチには常に人の姿がある。だから京都に「フグレン」ができると聞いたときは、すでにあるような気がしたほどだ。招待をいただき、開店前にお邪魔した。

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場所は市内北部の紫竹。観光客はぐっと減るが、地元で愛される飲食店も多いエリアだ。大徳寺に近く、とあるギャラリーを目指して時折訪れている。フグレンらしく、近隣の人々の生活に馴染みたいと選んだ地だそう。和洋菓子店だった建物の1階にあり、その空間は富ヶ谷の雰囲気を踏襲。ストロー材を用いた壁は本国の空気をそのまま持ち込み、かわらずベンチも置く。テーブルは一席のみで、カウンターとテイクアウトが主体。フグレンにとってははじめてのコーヒースタンドであるともいう。学校帰りの小学生が興味津々に中を覗き、ベンチに座って帰って行く姿は微笑ましかった。まるで以前からあったかのように、すっかり街の雰囲気に馴染んでいる。

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フグレンのテーマの一つにビンテージデザインとあるが、今回は京都の焼きもの、作家の陶磁器などの作品を取り入れた。客が数あるマグのなかから選び、それを使って店内でコーヒーを楽しめる。土地に寄り添いながら新しいタッチポイントを探る姿は頼もしい。ちなみに案内を受けた翌日はフグレンのメンバーとともに骨とう市に行き、彼らが真剣に探す姿を見た。コーヒーは変わらず美味しく、福岡店で作っているという焼き菓子の姿も。ノルウェーの国民食であるブラウンチーズを使った〈ブラウンチーズクッキー〉はコーヒーとの相性も良く、ついつい手が伸びてしまう。ワインも揃えるので、夕方からふらっと訪れるのもよさそうだ。京都でどのようなフグレンに育っていくのか、いまから楽しみだ。

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FUGLEN KYOTO(フグレン キョウト)

京都府京都市北区 柴竹東栗栖町38-3 A HOUSE 1階
営業時間:7:00〜18:00
不定休

 

山田泰巨

編集者

1980年生まれ、北海道出身。『商店建築』、『Pen』編集部を経て、2017年に独立。建築やデザイン、アートなどについて雑誌を中心に寄稿する。

山田泰巨

編集者

1980年生まれ、北海道出身。『商店建築』、『Pen』編集部を経て、2017年に独立。建築やデザイン、アートなどについて雑誌を中心に寄稿する。