いま注目を集めるクリエイターが、印象派に着想を得た、特別な作品を一挙に公開。本誌だけの印象派展がここに開幕!
印象派はなぜ生まれた?19世紀中頃は、中産市民階級が台頭し、人々の楽しい“日常”が街にあふれ出した時代。画家たちはそんな暮らしを題材とし新たな絵画として「印象派」を生み出した。そこからは現代の暮らしにも通じるテーマ性も垣間見える。当時の社会を紐解きながら、現代の視点で読み解いた、新たな印象派の魅力がここにある。
『自由な視点、その創造性――印象派を読み解く』
Pen 2026年2月号
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SHUN SUDO|油彩ならではの表現で、パリの光を再構築する
シュン スドウ⚫︎現代美術家。1977年、東京都生まれ。独学で絵画を学び、20代で渡米、世界を旅しながら制作を続けている。水墨画のような線画に鮮やかな色彩を重ねた『BUTTON FLOWER』が代表的なシリーズ。2026年春に大規模な展覧会を開催予定。中心に4つの小さな穴が描かれた『BUTTON FLOWER』で知られるアーティストのSHUN SUDO。これには「ふたつの生地をつなげるボタンのように、人と人の心もつなげたい」という思いが込められている。エネルギーに満ちた色彩ながら、墨絵のような輪郭線からは、日本的な要素も感じられる作品だ。
SUDOの作品はアクリル絵の具で描かれるが、2025年から油彩にも挑戦し始めた。この夏にパリに滞在し、そこでパリの風景と印象派の絵画にインスピレーションを受けてつくった作品『Paris』もそのひとつだ。個人オーナーが購入する予定だというこの作品を、今回、特別に公開してくれた。
「印象派の作品は昔から知っていましたが、最近、仕事でパリに行くことが増えて、作品を間近で見る機会に恵まれました。筆使いまでしっかりと見ることができ、自分も油彩にも挑戦してみようと思ったんです」
アクリル絵の具はフラットな印象に描くのには向いているが、油絵は油絵の具にしかできない色みがあるという。さらに絵の具を乾かす時間が、彼の思考をも変化させた。
「この作品にはパリの植物園『ジャルダン・デ・プラント』で見た光景や、印象派の絵画、パリの街並みなどさまざまな要素が含まれています。モネは実際に見た光景を再構築していきましたが、僕の場合は、自分が見たさまざまな記憶をキャンバスに再構築していくような感じ。絵の具が乾くのを待つ時間によって、記憶も変化していきました」
当初は青色だった背景も途中でオレンジ色に変更した。時間の経過を表現したいと思い、青空ではなく、刻々と変わるパリの夕暮れや朝日の色に変更したという。
「花が咲いて散って同じ場所に咲くような断片的な切なさを切り取るのではなく、継続してつながっていくゆらぎを表現したかったんです」
ダイナミックな作風はそのままに、奥行きやゆらぎが加わったSUDOの新作。その奥深くには、光を表現しようとした印象派の作家たちの姿勢が眠っている。
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絵の具が乾くのを待つ時間が、自分が見たさまざまな記憶を変化させていきました
『Paris』
2025年 油彩、カンヴァス 112×164cmSUDOは一貫して、見る人がポジティブなエネルギーをもらえる作品を描くという。背景からは植物園の植物や、パリの空などが見て取れる。油絵の具のほかに、オイルスティックも用い、躍動感も感じられる1枚に仕上がった。
©︎ SHUN SUDO
