いま注目を集めるクリエイターが、印象派に着想を得た、特別な作品を一挙に公開。本誌だけの印象派展がここに開幕!
印象派はなぜ生まれた?19世紀中頃は、中産市民階級が台頭し、人々の楽しい“日常”が街にあふれ出した時代。画家たちはそんな暮らしを題材とし新たな絵画として「印象派」を生み出した。そこからは現代の暮らしにも通じるテーマ性も垣間見える。当時の社会を紐解きながら、現代の視点で読み解いた、新たな印象派の魅力がここにある。
『自由な視点、その創造性――印象派を読み解く』
Pen 2026年2月号
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YOSHIROTTEN|データで捉えた南仏の光を、マウスで描いたデジタル絵画
ヨシロットン●アーティスト・アートディレクター。1983年、鹿児島県生まれ。クリエイティブスタジオ「YAR」代表。グラフィックからファッション、音楽まで、さまざまな分野で活動。2024年に霧島アートの森美術館で個展を開催。25年12月、大谷グランド・センターに作品が初の常設展示。写真が登場し、絵画の存在意義がゆれた時代、印象派の画家たちは光そのもの、さらにはその移ろいまでも表現しようとした。その後も、ジェームズ・タレル、オラファー・エリアソン、杉本博司など、多くの作家が「光」に魅了され、独自の表現のための手法を追求している。
アーティストのYOSHIROTTENもそのひとりだ。『SUN』をはじめ、彼が取り組む作品の多くは、まさに光が関係している。
「僕は鹿児島の自然豊かな場所で育ちました。思い返すと、幼い頃から空や水に反射する光、宇宙などの光に興味を持っていました。一方で僕の作品にはデジタルのものもありますが、液晶などもひとつの光の媒体だと捉えています」
今回、本企画のために制作した新作は、2024年の個展『FUTURE NATURE Ⅱ in Kagoshima』で公開した「Tranthrow」シリーズのひとつ。この作品シリーズは、屋外で分光器を使って採取した可視光線、紫外線、赤外線の情報を、独自のアルゴリズムで波形のデータにし、さらに再構築したものだ。
「今回は、印象派のひとりとされるポール・セザンヌが育ち、見ていたであろう場所の風景の写真を使うことにしました。ちょうど2025年の夏に、フランスのエクス=アン=プロヴァンスを訪れたのですが、そこで見た空や畑、森などの風景は、多くのインスピレーションを与えてくれました。そこで撮影した写真から、ここでは人間の目で見える可視光線だけを取り出し、再構築しています」
波形の可視光線のデータの一部をパソコン上でトリミングし、その時見た風景を思い出しながら着色したという。光を絵の具、マウスを筆と捉える彼にとって、こうした作業は絵を描くことと同じだ。
「光を採取し、こうして1枚の画に再構築する方法は、クロード・モネが光を絵画で表現しようと挑戦した姿勢にも通ずるかもしれません」
かたちのない光を捉え、1枚の絵に閉じ込めること。いつの時代でも作家を魅了し、見る人に驚きと感動をもたらすこのテーマは、テクノロジーとともに進化を続けている。
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空、水に反射する光、宇宙——自然のなかのさまざまな光に幼い頃から興味がありました
『Tranthrow - aix en provence』
光には紫外線や赤外線なども含まれるが、人間が感知できるのは可視光線と呼ばれる電磁波だけだ。彼にとって写真から可視光線だけを抽出するのは初めての試み。南仏の風景の記憶とともに、着色をしている。
©️ YOSHIROTTEN

グラフィックアーティスト、アートディレクター
1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。
Official Site / YAR
1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。
Official Site / YAR
