1.多角的な視点から生み出される、ミニマルなグラフィック表現
JAGDA(日本グラフィックデザイン協会)を代表するデザイナーが毎年一点、ボランティアでポスターを制作する「ヒロシマ・アピールズ」。中村至男が2023年に手掛けた作品『人差し指』は、ほんの一撃で街を破壊してしまいそうな大きな指先を「人間の弱さの象徴」として描いた。 佐藤雅彦と制作したプレイステーション用ゲームソフト「I.Q Intelligent Qube」(1997年)
グラフィックデザイナー・中村至男の個展がギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中だ。1990年代初頭から手掛けてきた広告や動画、音楽業界の仕事、絵本など多岐にわたる作品と、展覧会のために制作された新作を一度に堪能できる機会となっている。見る側の想像力をかき立てるビジュアルが持つ魅力に加え、新作と旧作を時系列で分けない会場構成も個性が際立つ。
会場1階は大判のポスターが中心、地階ではアートユニット「明和電機」のグラフィックに代表される作品や広告、パッケージ、ブックデザイン、プロダクトなどでまとめられている。代表作の隣に配されている新作に気づくかどうか、探し出すような楽しさも隠されている。「全体をシャッフルしながら、あえて“並べない”ことをやってみたかった」と中村は言う。
「30年前といまの仕事を、系統立てて並べないことを意識しました。軸としてあるのは、グラフィックデザイナーである自分自身。どのメディアでつくったものも個々がイメージを喚起したり、コミュニケーションを生むグラフィックデザインになっていて、その軸が浮き上がってくることを目指しました」
イラストレーションで表現することもあれば、動かしたほうが伝わる場合は映像化しながらも、力点は常にグラフィックデザインに定まっていた。展示ではクライアントワークに限らず、自主製作として生み出された作品も多い。
「思いついたらつくってみる。思いついた考えを1枚のグラフィックにすることをずっと続けてきました。なにかひとつでもゾクっと感じ取ってもらえればうれしいです」
会場の各所に潜む、中村のオリジナルキャラクター“青いぼうや”にも注目しながら、ミニマルな表現に心をゆだねたい。
『中村至男 オン グラフィック』
開催期間:〜2026/1/31
開催場所:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
開催時間:11時〜19時
休館日:日、祝、12/26〜1/5
入場無料
www.dnpfcp.jp/gallery/ggg

