現代の日本酒が持つ特徴や個性を最大限に引き出す酒器として生まれた、気鋭の作家がつくる最高峰の「天酒碗」、日本酒を語る際の基準となるインフラを目指して開発された磁器の「SHUWAN」、そして、より液体の色やにごりのニュアンスを愉しむためのガラス製の「しゅわん」。これらの酒器を手がける酒と酒碗のギャラリー「天酒堂」が、東京・南青山に続き2店舗目を京都祇園にオープンした。
「天酒堂 京都祇園」では、裏千家茶道の立礼点前から糸口を得たスタイルでテイスティング体験を提供しており、京都・伏見の日々醸造から毎日届けられる仕込み水や荒漉しのもろみの他、日本各地から集めた時代を牽引する名酒造の酒の利酒を愉しめる。
これまで日本酒の味わいが時代の流れとともに変化してきたのと同じように、それを愉しむ酒器も変化してきた。同じ酒でも、これまで飲食店でよく用いられてきたワイングラスと、現代の日本酒のために開発された酒碗で飲み比べてみると、その味わいの違いに驚かされるだろう。
日本酒の味わいが濃醇だった江戸時代には、口径の小さい猪口を。物資が乏しく、低品質な酒が大量生産された昭和初期には、安価なガラス製のコップやプラスチック製の枡を。派手なものが好まれたバブル期の名残と、欧米文化に対する憧れが相まって、香りの華やかな吟醸酒が好まれた平成にはワイングラスを。そして近年、ますますフレッシュに、クリアに、みずみずしく進化していく新時代の酒の味わいに合わせて、その魅力を引き出すための新しい酒器を考案したのが、天酒堂のオーナーであり、酒碗の考案者である庄島健泰。福岡で九州最大級の品揃えを誇る酒販店、住吉酒販の5代目当主である庄島は、同時代を生きる醸造家が生み出す日本酒のための酒器を、同時代を生きる作家たちとともに考案し、「酒碗(現:天酒碗)」として2022年に発表。さらに24年に磁器の「SHUWAN」、25年にガラス製の「しゅわん」を続々と発表したが、ローンチの際に実施したクラウドファンディングでは、それぞれ50万円の目標金額設定に対して、1,100万円と1,200万円の支援を集めて大きな話題となった。
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日本酒にまつわるカルチャーを醸成する、西の新拠点。
庄島が考案した「酒碗」の数々は、ミシュランや食べログアワードなどで高評価を受ける飲食店や外資系高級ホテルなどのほか、「新政」「日日」「風の森」「産土」といった、現代の日本酒づくりを牽引する多くの蔵元でも、パートナー酒器として導入されている。中でも「みむろ杉」で知られる今西酒造の今西将之は、自身のつくった酒を初めて「酒碗」で飲んだ際に、自覚していた以上の美味さに感激し、震え、涙したと語っている。
今回、京都の南座前に新たにオープンした「天酒堂 京都祇園」は、そんな酒碗の魅力に触れられるギャラリーとしての機能に留まらず、日本酒にまつわるあらゆるカルチャーを醸成し、世界に打ち出す情報発信地として機能していく予定だ。庄島と酒碗によって生み出された大きな渦は、いま確実に、日本酒の未来を力強く切り拓いている。その中心地となる「天酒堂 京都祇園」に訪れれば、これまでに体験したことのない、新しい日本酒の愉しみかたと出会えるだろう。
『天酒堂 京都祇園』
京都府京都市東山区中之町200 カモガワビル4階
Instagram : @tenshudo.kyoto
