【青山で心を整える時間を】京都生まれの老舗・一保堂茶舗が開いた、都市に寄り添うお茶の新たな舞台

  • 写真:河内 彩
  • 文:Pen編集部
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一保堂茶舗 青山店 

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お茶を育てる営みを空間に落とし込んだのは、建築デザイン事務所のPuddle。

根津美術館の向かい、青山の緑を借景にするように、京都の老舗・一保堂茶舗の新たな旗艦店が誕生した。江戸時代から続く茶舗の哲学を、現代の都市空間へとアップデートしたこの場所は、「お茶を飲む」行為そのものを改めて体感させてくれる。

店内の象徴となるのは、“太陽”をかたどった円天井。窓辺には、茶畑で日差しを和らげる寒冷紗を想起させるカーテンが掛けられ、足元には麻布に漆を重ねた床が広がる。自然の要素を抽象化し、都市の中にそっと溶け込ませた設計が、空間全体に静かなリズムを与えている。

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3種の抹茶を濃茶でテイスティングし、気に入った銘柄を薄茶で楽しむ「抹茶グーモン」¥5,500。

光がたっぷりと差し込む喫茶室では、抹茶や煎茶、玉露など多彩な日本茶を、季節の菓子とともに楽しめる。なかでも青山店限定の抹茶「SEIZAN」は、豊かな旨味と奥行きのある余韻が印象的で、一服ごとに気持ちが整っていくのを感じる一杯だ。

一方、地中をイメージした売場には、定番のティーバッグに加え、茶器や抹茶スターターキットも揃い、自宅でのお茶時間を気軽に始められる提案がなされている。格式にとどまらず、日常へと開かれた姿勢も一保堂らしい。

都会の真ん中で味わう一杯は、特別でありながら、暮らしに自然と寄り添うもの。青山店は、日本茶との距離を心地よく縮めてくれる、新しい入口となりそうだ。

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地中をイメージした売場では、日常使いしやすい銘柄から、茶器や抹茶スターターキットも揃う。
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「抹茶スターターキット はじめの一保堂」¥¥8,800。キットの中身は、抹茶をはじめるのに最低限必要な、抹茶茶碗・茶筌・抹茶スティック。お湯さえ用意すれば抹茶が点てられる、嬉しいセットだ。

Ippodo tea Aoyama

住所:東京都港区南青山4-23-6 2F
営業時間:10時~18時(17時30分L.O.)
定休日:月
www.ippodo-tea.co.jp