iichiko彩天は「割る」ではなく「掛ける」へ、固定観念を覆す焼酎の新たな可能性

  • 文:Pen編集部
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2019年にアメリカで発売されて以来、世界の名だたるコンペティションを多数受賞した、本格麦焼酎「iichiko彩天」。国内では今年6月から発売されている。

いま、世界中のバーテンダーの間で注目されている焼酎。“割って飲む酒”としてポピュラーなイメージが強いが、近年ではその概念がどんどんアップデートされている。従来の焼酎のイメージを覆すクラフト焼酎が海外でも人気を博し、ユニークな焼酎が日々生まれている。

焼酎ブームを牽引しているのが、日本を代表する本格焼酎ブランド「iichiko(いいちこ)」だ。特に、カクテルベースとして楽しめる「iichiko彩天(さいてん)」は2020年、世界最大級のバー業界の祭典「テールズ・オブ・ザ・カクテル」でアジアの伝統的な蒸留酒として初めてトップ10入り。世界最大の蒸留酒品評会「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SFWSC)」では3年連続で最高金賞を獲得し、25年には、プラチナ賞を受賞するなど、海外での評価が高まっている。

そんなiichikoを手掛ける三和酒類の拠点、大分・宇佐市を訪れ、iichiko彩天の魅力に迫った。

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日本特有の味わいを、世界に届けるスター商品

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iichiko彩天。単式蒸留機で常圧蒸留した原酒をメインに使用することで、トップにはチョコレートやクリームなどの濃厚な香りが楽しめる。口に含むと大麦の芳醇な香りやフルーティーな香りが広がる。温度の変化でさまざまな味わいとフレーバーを感じることができる。

iichikoは、麦焼酎の代名詞としてクラシックな印象が持たれているが、2019年にアメリカで先行発売された「iichiko彩天」は、その概念を一新した1本だ。

日本伝統の蒸留酒である焼酎を、世界的スピリッツに押し上げることを目標に商品づくりがスタート。開発には、「ベストアメリカンバーテンダー2020」など多くの受賞歴があるトップバーテンダー、ケビン・ディードリヒを筆頭に、世界的バーテンダーが多く関わった。

原料には、安全性や品質規格をクリアした二条大麦を使った大麦麹を贅沢に100%使用。日本伝統の酒づくりに用いられる全麹仕込みを採用することで、奥行き深い味わいを実現している。

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貯蔵庫に所狭しと並ぶ、さまざまな原酒が貯蔵された熟成樽。三和酒類では、およそ400種もの酵母を所有している。写真のiichikoの原酒を生み出しているいいちこ日田蒸留所では、およそ14種類の原酒を製造しているという。
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大麦麹、水、酵母をいれて仕込んだもろみ。これを単式蒸留をすることで、原料の麹の風味が残り、麹由来のうまみを得ることができる。

最大の特徴は、“UMAMI(旨味)成分”。近年海外から注目されている日本独自の味わいを、大麦の旨味にフォーカスし、徹底的に追求した。さらにウォッカやジン、ラムなど世界の蒸留酒と同じく、アルコール度数を43度と高く仕上げ、カクテルにしてもiichiko彩天の個性が引き出せるようにした。

日本では“割って飲む酒”として親しまれてきたが、他の素材と“掛け合わせて楽しむ酒”として、大胆に舵を切り、焼酎に新たな可能性を与えたのだ。

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いいちこ日田蒸留所の木戸勝利さん。「麹やもろみの状態を見極め、出来上がった原酒を利き酒しながら、より美味しい焼酎をつくるために考えることが楽しいですね」と語る。

日本の蒸留酒を世界に打ち出し、これからも積極的に展開を考えているというが、iichikoの焼酎づくりで大切にしているのは、一貫して変わらない味わいの追求。それは、開発部門にとどまらず、全社員が大切にしている信念だ。三和酒類の西和紀社長は語る。

「今日飲むiichikoと明日飲むiichikoの味わいは変わらぬ美味しさを目指しているが、5年先、10年先に飲むiichikoは品質が明らかにグレードアップしていると気付いていただける。ごくまれに熱心なお客様から、『味わいが違うのでは?』という意見が届いた場合は、すぐに商品を送ってもらい、分析ときき酒、検証を行った上でご報告を必ず行っています。ほんの小さな品質の差を積み上げる努力を日々欠かさずにしています。1mmの品質差を積み上げるとは、そういうことなのです」

こうした徹底した情熱こそが、iichiko彩天の成功の秘訣なのかもしれない。

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願いを込めて、歴史ある神社にカクテルを奉納

2025.11.5_60.jpg宇佐神宮で、奉納されたiichiko彩天。

三和酒類が位置する大分県宇佐市は、全国約4万社の八幡社の総本宮である宇佐神宮のお膝元。御鎮座1300年の節目である記念すべき年である今年11月、iichiko彩天のさらなる飛躍を祈願し、宇佐神宮で初めてカクテルが奉納された。

カクテルをつくったのは、一般社団法人日本バーテンダー協会会長で、東京・銀座の「BAR HIGH FIVE(バー ハイファイブ)」のオーナー兼バーテンダーの上野秀嗣会長。iichiko彩天をコアントローと掛け合わせた「白麹麗人(ホワイト麹レディ)」、三和酒類の「安心院ワイン八幡果酒」と合わせた「神麹」、そしてブルーキュラソーやサンブーカと掛け合わせた「天空の麹」の3種を考案した。

カクテルのベースはすべてiichiko彩天だが、その味わいは三者三様。スピリッツ、リキュール、醸造酒、さまざまな酒のよさを引き出す、まさに“掛ける酒”といえる。

上野会長は「まったくタイプの違うカクテルがつくれました。どんなお酒とも合わせやすいけれど、麦焼酎の個性もしっかりある。日本の酒の魅力が世界に伝わってほしい」と、iichiko彩天の可能性に期待していた。

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奉納された3種類のカクテル。左から「天空の麹」「白麹麗人(ホワイト麹レディ)」「神麹」。
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「iichiko彩天祈願奉納祭」の様子。厳かな雰囲気の中、一般社団法人日本バーテンダー協会会長の上野会長によるシェイカーの音が響き渡っていた。

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この冬に訪れたい、豊かな水源と麦に恵まれた宇佐市

三和酒類のある宇佐市は、日本初の清酒特区に認定。古くから豊かな水資源と麦づくりに適した豊かな自然に恵まれ、酒づくりの街として栄えてきた。最後に蒸留所とともに足を運んでほしい、iichikoゆかりの地をピックアップして紹介しよう。

【辛島 虚空乃蔵】
三和酒類の歴史を基に、2022年5月にリニューアルオープンした酒造観光施設。発酵・麹をテーマにした料理や、iichiko同様に地元で親しまれている地元大麦品種「ニシノホシ」を使用したクラフトビール「KOKU NO CRAFT」も味わえる。そのほか、地元名産のひとつである柚子胡椒や、三和酒類の人気日本ワイン、安心院ワインなども取り揃えている。

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地元の酒蔵4家が企業合同して誕生した三和酒類。辛島 虚空乃蔵では、体験のほか、当時の米の蔵の梁、束石などかつての日本酒蔵で使われていたものなど、歴史的な建築を拝むことができる。

【両子寺】
国東半島の中央に位置する両子寺(ふたごじ)は、天台宗の寺院。また、「六郷満山」の中心的な存在であり、瀬戸内海国立公園の一部にも含まれる歴史ある寺として知られている。なかでも有名なのが、寺の七不思議のひとつとして知られる「貫水(かんすい)」。干ばつでも枯れず、雨季でも増水しない。年中一定の水量を保ち、水温も変わらないという不思議な特徴を持つ。この御霊水を使ったそばもお薦めだ。

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両子寺の境内。
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両子寺の「貫水(かんすい)」。味わいはとてもまろやか。

古くから酒づくりの街として栄えた宇佐市で生まれた、日本のスター焼酎「iichiko」。この冬、酒づくりの旅に足を運び、iichikoを楽しんでみてはいかがだろうか。

iichiko彩天

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