真冬は目前。年末のボーナスを捧げるべき4つのアウターを紹介する。人気ブランド同士のコラボレーションによって生まれたのは、普遍性と現在性を併せ持った主役級のアウター。それぞれのスタイルにフィットしながら着こなしの枠を拡張する一着に、ぜひ注目してほしい。

¥104,500/アクアスキュータム×ナンガ(アクアスキュータム✉aquascutum-press@renown.co.jp)
アクアスキュータム×ナンガのマウンテンパーカ
完全無欠のデイリーウェア
クラシックなマウンテンパーカは、都市から軽快なアクティビティまで現代の生活にフィットするアウターウェアだ。別売りのインナーダウンを脱着することで、秋から厳冬、そして春まで、天候やシーンに左右されず着用できる。素材の上品な光沢や英国的な色使いとディテールで、いわゆるアウトドアに寄ることなく、上品な印象になるからこそシーンを選ばない。そこにナンガのダウンへの深い造詣が加わることで、本質的なユーティリティ・ウェアが完成した。素材として採用されるウィンコルは、登山家エドモンド・ヒラリーが世界で初めてエベレストに登頂した際に着用していた「Wyncol D711」を現代に復刻したもの。そんな歴史の奥行きに想いを馳せながら袖を通したい。
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¥103,400/スティーブン アラン×グローバーオール(スティーブン アラン フタコタマガワ TEL:03-5491-7511)
グローバーオール×スティーブンアランのダッフルコート
こなれたムードを、ただ纏うだけで
グローバーオールがシグネチャーとして展開しているダッフルコート「MONTY」は、ディテールがとことんカントリーだ。ウッドのトグルに麻の紐。裾の内側にはコットンのストラップがついていて、自転車に乗るときにとめて巻き込みを防ぐ。フードのスナップボタンはフィット感を調整するためのアナログな仕様で、視覚的なポイントにも。イギリスのカントリーサイドを思わせるようなオリーブグリーンの色合いは、今回スティーブン アランが復刻別注したもの。現代的にゆったりとした美しいシルエットで、普段のシンプルでクラシックなスタイルに羽織るだけでコーディネートが完成する。ある意味ラクにこなれたムードを纏える一着だ。
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ナイジェル・ケーボン×ベルスタッフのトライアルマスター
生き字引が案内する、着る時間旅行
1949年生まれのナイジェルケーボンは、英国のファッションの歴史を収集し続けてきた人物だ。そんな彼が英国のバイクカルチャーを象徴するベルスタッフとともに服を作った。1948年頃に生まれたトライアルマスターはベルスタッフの代表作。独特な質感が目を引くカモフラージュ柄は、かつてこの服が着用されていたハードな環境をイメージし、ハンドペイントの柄を、伝統的なオイルドクロス特殊なプリントを重ねることで表現した。ヴィンテージのような経年変化が楽しめる。過去の歴史をなぞるように一つ一つのディテールに意味があり、一つ一つ眺めて使用するのが楽しい。ゆとりのあるスラックスやデニムとシンプルに合わせて、スティーブ・マックイーンが象徴するスタイルを現代的に解釈してみたい。
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デサント×グラフペーパーのダウンジャケット
研究を尽くした美しいオーバーサイズ
オーバーサイズ、グレー、ミニマム。削ぎ落とした都会的なムードを感じさせる、グラフペーパーとデサントのコラボレーション。二重構造になった止水ジップがデザインのポイントと機能性を兼ね備えている。日本が世界に誇る「水沢ダウン」のロングセラーモデル・アンカーをベースに、都市生活になじむように再構築された。特徴的なのは肩の傾斜を美しく見せるショルダーからアームにかけての設計。グラフペーパーが長年に渡ってこだわり抜いてきた、美しく自然で、多くの人に似合うパターンの妙が見事に発揮されている。機能性と信頼は言わずもがな。ワントーンでストイックに着こなしたい。
【完売必至コラボアウター】コム デ ギャルソン×ゴールドウィン、スタジオニコルソン×マッキントッシュ…2025年冬の4選
長嶋太陽 編集者/TAIYO INC.代表
2025年大阪・関西万博日本館公式Webマガジン「月刊日本館」の編集統括、L’ECHOPPEコンテンツエディター、1LDK es.立ち上げなどを手がける。