ふたりの人気写真家が理想の展示を実現した、エプソンが誇る写真高画質プリンターの多彩な表現力

  • 文:石川博也
  • 写真:中庭愉生
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多くの人が日常的に行っている写真撮影の楽しさ、おもしろさをさらに一段上のレベルに引き上げてくれるのがプリントである。日進月歩で進化を続けるインクジェットテクノロジーによって、ひと昔前とは比較にならないほどプリントによる表現力が向上し、紙はもちろん、それ以外のものにも印刷ができるようになっている。

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会場は3つのスペースに区切られ、作品を鑑賞したり最新のプリント技術について知ることができた。

そんな今だからこそ知っておきたい、写真表現の新たな可能性を探る企画展『PRINTING×CREATORS』が、11月13日(木)から15日(土)の3日間にわたり、渋谷ヒカリエ8/COURTにて開催された。

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会場にはエプソンが誇る写真高画質プリンターも展示。顔料インク搭載の「SC-PX1V」はA3ノビサイズまでのプリントに対応。自宅で高画質プリントができるため、プロカメラマンはもちろん、多くの写真愛好家にも利用されている。

企画展の主催はエプソンで、同社は長年にわたり、イマジネーションを形にし、インクジェットテクノロジーで表現することの広がりを追求し続けてきた、いわばプリントのプロフェッショナル企業だ。

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写真家の渡部さとる(左)と藤原嘉騎。

では、エプソンの言う“イマジネーションを形にする”とはどういうことなのか? その答えの好例として、会場では「不確かなものを形にする」をテーマに、エプソンのプリンターを使って制作された作品による写真展が開催された。

作品を制作したのは、異なる世界観を持つふたりの人気写真家、藤原嘉騎と渡部さとるだ。

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ハーレミューレ社の「フォトラグ バライタ」を使った藤原の作品。細部まで臨場感たっぷりに表現されたダイナミックな作品が来場者を魅了した。

藤原はアイスランドやニュージーランド、福井県鉾島、長野県乗鞍高原など国内外で撮影された、大自然が織りなす圧倒的な風景を2種類の用紙にプリントして作品を生み出した。

エプソンの高画質機シリーズの大判プリンターを使い、ハーレミューレ社の「フォトラグ バライタ」(用紙)にプリントされた大判の作品は、銀塩の印画紙であるバライタ紙のような光沢感と深みのある質感表現が魅力だ。

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アイスランド南部で撮影された藤原の作品。用紙はハーレミューレ社の「フォトラグ バライタ」が使用されている。

「僕は自分が現地で見た時の感動をできるだけ伝えたいと思い、広角レンズを使って目の前の風景を余すところなく画角に収まるように撮影しています。今回用紙に使用したフォトラグ バライタは、光沢感があるのに一般的な光沢紙よりもやわらかい表現ができる印象です。岩のゴツゴツ感や荒々しさも立体的に表現してくれますし、それでいて木のぬくもりもしっかり感じられます。空が白から青に緩やかに変わっていくような繊細なニュアンスや影の滑らかな感じもナチュラルに出てくれました。エプソンのプリンターを使い、フォトラグ バライタに印刷したことで、現地で自分が見たままの雄大な自然の美しさを写真としてリアルに伝えることができて嬉しいです」

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エプソンのプリンター「SC-PX1V」を使い、ハーネミューレ社の「トーション」にプリントされた藤原の作品。アイスランド北部で撮影されたものだ。

また、シャープな写真をあえて少しソフトに現像し、幻想的な雰囲気に仕上げた風景作品は、エプソンのプリンター「SC-PX1V」を使い、ハーネミューレ社の「トーション」と呼ばれる用紙でプリントされた。「SC-PX1V」は顔料インクを搭載し、ブルーの広い色域と深い黒の表現が特徴のプリンターだ。バライタ紙やファインアート紙との相性が良く、作品の質感と色彩を最大限に引き出してくれる。

「光沢感のあるフォトラグ バライタとは違い、こちらのトーションは光沢感がなく、用紙の表面に和紙のようなザラつきやボコボコ感のあることが特徴です。例えば、雲の表現はモコモコとした質感や立体感が出てくれますし、天の川は光り輝く感じがナチュラルで、用紙の表面に凹凸があることによって暗いところがただ暗いだけではなく、微妙なニュアンスを伴って表現されています。モヤっと霞んでいる感じも絶妙で、やわらかな雰囲気の写真とすごく相性の良い用紙だと感じました。写真高画質プリンターとトーションを組み合わせることで、プリント作品の表現力が確実に広がりましたね」

 

エプソンの写真高画質プリンター

 

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オーガンジーにプリントされた渡部の作品。

一方、渡部さとるはピントをあえてボカしたアウトフォーカスの作品「inception」を、2つの手法でプリントした作品を展示した。

ひとつは、渡部が以前から試してみたかったと話す、透け感のある非常に薄くて繊細な布、オーガンジーにプリントした作品だ。エプソンの昇華転写インクのプリンターを使用し、オーガンジーに熱で転写することで作品が完成した。

「inceptionシリーズの始まりは偶然ボケた写真を撮影したこと。それを見た時にボケていたほうが現場の温度感が伝わるような気がして、おもしろいと思って同様の写真を撮り始めました。inceptionシリーズはこれまでも何度か展示を行っていますが、出力したのはすべて紙だったんですね。でも今回の打ち合わせの時に、薄いオーガンジーのようなものにプリントできますか? と相談してみたら、エプソンさんにはその技術があると言っていただいたので、念願叶ってこの展示が実現しました」

いわばエプソンのプリント技術が、渡部のクリエイティビティを具現化し、これまで実現できなかった展示を可能にしたのだ。

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渡部の展示の様子。一点一点はもちろん、透け感のある作品が重なり合うことで、観賞者が自分だけの好きな見え方を探すような楽しみもあった。

会場にはオーガンジーにプリントされた渡部の12作品が、タペストリーのように上から吊り下げられる形で展示された。来場者が近くを通ったり、エアコンの風を受けることによって、ふわふわヒラヒラと作品がゆらぐ、ファンタジックな演出だ。透け感があるため、角度によって見える印象が変わったり、複数の作品が重なり合って見えたりするなど、通常の作品展とは異なる楽しみ方ができる展示となっていた。

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渡部の作品。会場ではエプソンの「ベルベット調 ファインアート紙」にプリントされた。

渡部のもうひとつの作品は、エプソンの高画質機シリーズの大判プリンターを使い、エプソンの「ベルベット調 ファインアート紙」にプリントしたもの。マットな色調表現により、まるで絵画のような遠近感のない非現実的な写真作品となった。

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投げかけられた問いに回答することで、鑑賞者にとって展示が自分ごとに変わっていった。

実は渡部の展示には、もうひとつ仕掛けが用意されていた。それは15の問いがひとつずつ記された15枚のカードのうちの1枚を来場者に手渡し、回答を書いてもらったら、そのカードを会場の壁に貼ってもらうというもの。問いの内容は「十七歳に戻れるなら何をする?」「生まれ変わりは信じる?」「今、誰に会いたい?」など。

「問いを立てることで、今回の展示が相手のエピソードともつながると思うんですよね。クリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』の中で、相手の夢の中に入って夢を書き換えるシーンがありますが、あれと同じように会場が私の脳内だとしたら、そこに来場者のみなさんが侵入してきて、書き換えを行って去っていくようなイメージです。それによって展示期間中、常に展示は変化していきました」

問いに答えてくれた来場者が、友達や家族と会った時にその問いについて話をしてくれたら、さらに変化は続いていくと渡部は話す。

 

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トークショーの様子。写真家同士、お互いに質問し合うなど、ふたりにとっても有意義な時間となった。

さらに14日(金)には藤原と渡部のクロストーク、15日(土)には渡部単独のトークショーも行われ、作品制作の裏話やエプソンのプリンターや用紙の話などが飛び出し、盛り上がりをみせた。

 

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Tシャツをはじめ、アクリルやマグカップなどエプソンのプリンターを使ってプリントされたアイテムも展示された。

 また、会場には、エプソンが誇る個人向けの最新高画質プリンターや、それに対応する用紙サンプル、Tシャツやアクリル、マグカップなど同社のプリンターを使ってプリントされたアイテムなども展示。

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プリントサンプルはエプソンをはじめ、さまざまなメーカーの24種類の用紙が用意され、実際に手に取って比べることができた。

ズラリと並んだプリントサンプルは、紙の白さや光の反射、ツヤの出方、黒のしまりなどを手がかりに問題と同じ用紙を選ぶクイズにもなっていて、実際にサンプルを触りながら、紙の違いによる写真表現の違いが実感できた。

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渋谷ヒカリエ8/COURTが会場だったこともあり、来場者の年齢層は幅広かった。

ここ数年で、デジタルカメラはもちろん、スマートフォンのカメラの画素数もあがり、ポスターサイズにプリントしてもきめ細やかな表現ができるようになった。写真高画質プリンターの性能も格段に上がり、例えば、会場に展示されていた「SC-PX1VL」や「SC-PX1V」などを使用することで、高精細なプリントを自宅で気軽に楽しめるようにもなっている。

さまざまな質感や風合いの用紙が数多く市販されているので、用紙を使い分けることによって理想の表現をプリントによって引き出すことも可能だ。逆に用紙からクリエイティビティを刺激されることもあるだろう。

企画展『PRINTING×CREATORS』は、そんな写真プリントの今を知るとともに、おもしろさや奥深さを実感できる絶好の機会となったのだ。

エプソンの写真高画質プリンター

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■使用プリンター:エプソン SC-PX1V
■使用用紙(A4サイズ):エプソン Velvet Fine Art Paper / エプソン 写真用紙<絹目調>
■申し込み受付期間:2025年12月19日(金)〜2026年1月7日(水)23:59まで
※プリント発送は2月中旬を予定しております。
■費用:無料
■申し込みURL: https://sform1.epson.jp/public/seminar/view/12257