【ロレックスの名作10選】いまも不動の人気を誇る、名コレクションの起源を振り返る

  • 写真:宇田川 淳 
  • 文:並木浩一
  • 編集:倉持佑次
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ロレックスの豊富なコレクションには、初代から現代まで続く記録的なロングセラーも少なくない。それぞれにファンを持つ名モデルの起源をたどる。

2025年は腕時計の“名作”が改めてフォーカスされた1年であった。そして、名作と呼ばれる腕時計には、一つひとつの物語がある。時代を超えて受け継がれる100本の腕時計、その“物語”を読み解いていこう。

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時代ごとに画期的な発明を続けたロレックス

ロレックスの歴史は、開発と発明の連続である。画期的な製品はロングセラーとなり、現在に至る。しかも人気は年々上がっていく。この繰り返しが、ロレックスの評価を不動のものにした。

最初の大発明は1926年である。この年、それまでの常識を覆す「オイスター」ケースを開発。腕時計初の本格的な防水性能を備えた牡蠣のように頑丈なケースは商品名に採られ、ロレックスの腕時計を決定的に性格付けることになる。翌年にはねじ込み式リューズの特許を取得し、防水性能は万全となる。そして第2の大発明は31年、360度回転する半円形ローターを持つ画期的な自動巻き機構「パーペチュアル」である。45年には「デイトジャスト」を発表。日付を表示するディスプレイが真夜中に切り替わる独創的なメカニズムは、いまもロレックスのお家芸である。曜日表示を12時位置に表示する「デイデイト」は、56年に誕生した。

その他にも、今日に続く名品が続々登場した。50年代には「エクスプローラー」「サブマリーナー」「GMTマスター」が誕生。63年には「コスモグラフ デイトナ」が登場し、67年には「シードゥエラー」、92年には「ヨットマスター」が加わった。技術に裏打ちされた名品が時代を彩るロレックスの歴史は、腕時計愛好家の必修科目なのである。

1926年「オイスター」

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腕時計初の本格的な防水性能を備えたモデル。牡蠣のように固く口を閉ざすことからこの名がつけられた。1927年10月にこの時計を腕にはめたメルセデス・グライツが、女性で初めてイギリス海峡横断遠泳に成功。翌年には特許取得のねじ込み式リューズを備え、「オイスター」はロレックスを象徴する固有名詞となった。

1945年「デイトジャスト」

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ダイヤルの小窓に日付(デイト)を表示する初の自動巻き腕時計。さらに、真夜中に日付が切り替わる表示機構の独創性が、ロレックスの技術的アドバンテージを見事に証明してみせた。このモデルのために特別にデザインされたジュビリーブレスレットが採用され、1957年以降は女性用モデルも次々と発表されていった。

1953年「エクスプローラー」

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「オイスター パーペチュアル」を装備したヒラリー卿とテンジン・ノルゲイがエベレスト登頂に成功した快挙から着想を得て開発されたモデル。高い湿度や猛烈な暑さ、氷点下の極寒に耐え得る卓越した耐久性と信頼性を誇る。3・6・9のアラビア数字を配したブラックダイヤルは、過酷な環境下でも抜群の視認性を発揮する。

1953年「サブマリーナー」

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100m防水を備えるロレックス初のダイバーズウォッチ。回転式ベゼルにより潜水時間を読み取ることができるスタイルは、その後多くのダイバーズウォッチのベンチマークとなった。ショーン・コネリーが演じた初代007のジェームズ・ボンドが着用し、映画『007 ドクター・ノオ』でスクリーンに登場したことも有名な逸話だ。

1955年「GMTマスター」

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航空会社のパイロットの要望に応えるために開発されたモデル。パン・アメリカン航空を含め、数多くの航空会社の公式時計として採用された。最大の特徴は、昼夜を区別するために2色に色分けされたべゼルと、24時間針の装備。ジェット時代の黎明期に世界のさまざまな場所の時刻の同時確認を可能にした。

1956年「デイデイト」

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プラチナまたは18金ゴールドでのみ製造されるプレステージモデル。ダイヤルに日付だけでなく、曜日もフルスペルで表示する世界初の腕時計として誕生した。特別にデザインされた半円形のリンクが連なるプレジデントブレスレットを装備しており、アイコニックな名品として現在においても高い評価を得ている。

1963年「コスモグラフ デイトナ」

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1959年、ロレックスはデイトナ・インターナショナル・スピードウェイと提携。その後、63年に発表した「コスモグラフ デイトナ」は、現在でも世界で最も人気のあるクロノグラフである。デイトナの名はいまも、人間とマシンの限界に挑む伝説のレース「ロレックス デイトナ 24時間レース」の舞台として輝き続けている。

1967年「シードゥエラー」

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610m防水を備えるプロフェッショナル仕様のダイバーズウォッチ。深海で活動するプロダイバーの過酷な要求に応えるべく、ケースにはヘリウム排出バルブを搭載している。飽和潜水後の減圧工程で使用される混合ガスに含まれるヘリウムを適切に排出し、風防の破損など時計へのダメージを防ぐ構造となっている。

1971年「エクスプローラー Ⅱ」

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1953年に発表された「エクスプローラー」の後継モデル。大きな違いはオレンジ色の24時間針、日付表示、24時間目盛り付き固定ベゼルが装備されていることで、太陽の光が差さない環境下で研究する洞窟の冒険などで実用的な機能だった。アワーマーカーも三角形や長方形のシンプルな幾何学形で視認性に優れる。

1992年「ヨットマスター」

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ロレックスは1958年にニューヨーク・ヨットクラブとパートナーシップを結ぶなど、ヨット界とのつながりが深い。初代の「ヨットマスター」は、堅牢性と防水性はもちろん、60分目盛り入りの両方向回転ベゼルを持つことが特徴だ。これにより航行時間の正確な計測が可能で、セーリングシーンで真価を発揮する。

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