グラフィック・空間・映像・アートピースなど、さまざまなアプローチで制作活動を行うアーティストYOSHIROTTEN。
この連載では「TRIP」と題して、古くからの友人であるNORI氏を聞き手に迎え、自身の作品、アート、音楽、妄想、プライベートなことなどを織り交ぜながら、過去から現在そしてこれからを、行ったり来たり、いろんな場所を“トリップ”しながら対談します。
──下半期も残すところわずかですね。今年はよく海外出張に行ってるイメージです。
YOSHIROTTEN:7月は、3週間のうちにニューヨークから始まり、ロンドン、ギリシャのケファロニア島、スイスでトランジットして南仏まで回ってました。南仏にある建築、アート、自然、食、ワインが楽しめるワイナリー「シャトー・ラ・コスト」に去年以来、また行って。キュレーターの方に会ったり、オーナーがたまたま誕生日だったこともあって、U2のボノやダミアンハースト、プリュンヌ・ヌーリーもいる空間で一緒にご飯したり。今回の旅は、特に出張というよりも偶然的な出会いでフットワーク軽く動いてましたね。旅行中の間は、3週間ずっとパソコンに向き合う制作はしなくて。こんなこと何年振りだったんだろうって...。もしかしたら10年振りくらいだったかも。いいリフレッシュになりました。

──ギリシャは行ったことないので、どんな景色だったのか気になります。
YOSHIROTTEN:僕も初めてでした。やっぱり太陽の位置や大きさが全然違っていて。海に太陽が反射した瞬間、「SUN」のようなシルバーの海に出会えて、さらに新しいインスピレーションに繋がりました。ギリシャでは自然の風景に触れる中で、作品への妄想が広がりましたね。



──ニューヨークは久しぶりでしたか?
YOSHIROTTEN:そうですね。パンデミック前までは毎年行ってましたが、その後はなんとなくタイミングを失ったままで、6年ぶりのニューヨークでした。でも、特に仕事の目的があるわけでもなく、今回は、ただただ空気浴びに行きたかった。以前仕事したことあるチームや現地に住む友人にも会いたくて。「ディア・ビーコン」もひさびさに行けて、現地の友達にもギャラリーを案内してもらったり。ブルックリンの MOS&GREENという苔屋さんとコラボレーションしたお茶も発売したとこだったので現地で確認できました。今回の旅で、初めて「イサム・ノグチ財団・庭園美術館」にも行けて、みんなが庭でチルってる様子が印象的でした。


──帰国後は?
YOSHIROTTEN:前に紹介した、コジコジの大阪パルコでの展示や、「WATARIDORI」を大阪中央公会堂で展示したり、長野の松本では久しぶりにDJをしました。その間に、キュレーターの長谷川裕子さんを自分のビューイングルームに案内する機会もあって。「鹿児島県霧島アートの森」の個展の際もお会いしてたんですが、9月19日に京都大学で開催したシンポジウム「キュレーションの社会的役割 - Shall we curate ?-」でも自分の作品を取り上げていただきました。


──「TOKYO GENDAI」でもインスタレーションを発表してましたね。
YOSHIROTTEN:「旧第一銀行横浜支店」の跡地で、自分の代表作品と言える《RGB》《FUTURE NATURE》《SUN》をミックスしたような映像作品を7mの巨大なスクリーンで発表しました。今年、日本にできるSOHO HOUSEというホテルクラブとTOKYO GENDAIとのコラボレーションで。実は僕はTOKYO GENDAIのロゴデザインも制作していたんですが、アーティストとして直接関わったのは初めてで嬉しかったです。また僕が青山トンネルという音楽バーで、毎月何時間もレコードをかけたレギュラーイベントを持っていた時の先輩である COS/MESの5IVEさんとのセッションができたのが嬉しかったなあ。




──10月には「FRIEZE LONDON」の期間中に、日本食のレストランで作品展示とDJもされてましたね。

YOSHIROTTEN:FUTURE NATUREシリーズ〈Menhir 2〉をロンドンのキャヴェンデッシュ・スクエアにある日本食レストラン「Aki London」にインストールしました。ライアンガンダーやカプワニ・キワンガなど9人の国際的な作家とともに作品を常設しています。
その場の環境の光によって変化する作品は唯一無二、一期一会の体験をもたらします。この作品が世界中色々なところで展開できたらいいなと思っています。ぜひ興味ある方ご連絡ください☺
そろそろ明日行うSUNインスタレーションのために大阪へいって参ります。SANAAがデザインした梅北パークでどんな光景になるかとても楽しみです。

グラフィックアーティスト、アートディレクター
1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。
Official Site / YAR
1983年生まれ。デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、領域を往来するアーティスト。2015年にクリエイティブスタジオ「YAR」を設立。銀色の太陽を描いた365枚のデジタルイメージを軸に、さまざまな媒体で表現した「SUN」シリーズを発表し話題に。24年秋に鹿児島県霧島アートの森にて自身初となる美術館での個展が決定。
Official Site / YAR