【透明ヘッドホン】内部が“見える”新デザイン。Nothingが生んだ快適操作モデルが話題

  • 文:麻倉怜士
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〈ワイヤレスヘッドホン〉
Nothing Headphone (1)(ナッシング ヘッドホン ワン)

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急速な成長を遂げるナッシング。その名は、人との間に隔たりをつくらないことに由来する。その哲学をデザインに落とし込んだヘッドホン ワンは、SNSでも話題に。¥39,800

ロンドンに拠点を置くテックメーカーのナッシングは、既存分野で革新的な製品を世に送っている。2021年、会社設立1年後に初の製品としてリリースしたワイヤレスイヤホン「イヤー ワン」は、スケルトンデザインで耳目を集めた。翌年には初のスマートフォンをリリースし、透明な背面からLEDでメッセージを発する演出で業界に衝撃を与えた。

そして、初となるワイヤレスヘッドホン「ヘッドホン ワン」は、そのユニークな仕様から話題を呼んでいる。ここでもアイデンティティの〝透明〟が効き、透けるイヤーカップからは、内部の音響チャンバーやパーツの存在が明瞭に見える。この「透明デザイン」はモノとのつながりをより濃密にユーザーに感じてもらう仕掛けなのだ。それは、従来のデザイン文法とはまったく異なる地平にて、同時に強烈な差別化でもある。

ヘッドホン ワンのワン・アンド・オンリーは、透明なだけでない。操作性でもほかにない仕様を採用した。ワイヤレス伝送では、ヘッドホン内部に通信、アンプなどのデバイスを搭載する関係で、音量調整やモード切り換えなどの操作は手で行う必要がある。ところがこれまでのワイヤレスイヤホン・ヘッドホンはタッチ入力が主流で、誤操作しやすくストレス。ヘッドホン ワンは触覚的に確認できるボタン構造で、カチカチと前後回転するローラーで音量調整やノイズキャンセリングの切り替え、側面のパドルを押し倒して曲送り、円形ボタンで機能を割り当てるなど、物理的に操作できる。誤動作に悩まされてきた人には朗報だろう。イギリスの名門スピーカーメーカーKEFが監修した音は、ジェントルで耳に心地良い。操作性も音もヒューマンな、人に温かいヘッドホンだ。

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タッチコントロールがトレンドの中、物理キーを採用。音量調整、ノイキャンの切り替えなどはローラーやパドル、ボタンによって行える。直感的でストレスフリーな操作を実現。

麻倉 怜士

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。

問い合わせ先/Nothing Technology Japan
TEL: 0120-789-830