【アジア最大ティファニー】銀座に開業、波打つガラスファサードが街を映し込む「新旗艦店」に注目【今月の建築ARCHITECTURE FILE #36】

  • 文:佐藤季代
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行き交う人々や木々、表情豊かな街並みに呼応するファサードは、ビルオーナーの「四季を感じられる建築に」という想いも込められている。

1837年にニューヨークで創業したラグジュアリーブランド、ティファニー。クラフツマンシップを基盤に築いてきた独自の美学は、ジュエリーをはじめ、建築やインテリアにも一貫して息づいている。その精神を新たなかたちで体現したのが、2025年7月、銀座・並木通りの一角にオープンしたアジア最大規模の旗艦店「ティファニー 銀座」だ。

外観デザインを担当したのは、これまでも世界のハイブランドを数多く手掛けてきた青木淳とパートナーの品川雅俊率いるAS。ニューヨーク本店のコンセプトを継承しながら、高さ66mのファサード全体をブランドカラーのティファニー ブルーに染まる波打つガラスで包み込んだ。

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店舗は地下1階から地上4階にかけて入居する。夜には内部の明かりが透過し、建築自体がウィステリアランプのように街をほのかに照らす。

 

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風のようにゆらめく低層部のファサードと調和したショーウィンドー。ティファニーの現在を体現するアイコニックなジュエリーが並ぶ。

そのモチーフとなったのは、創業者の子ルイス・コンフォート・ティファニーが手掛けた代表作「ウィステリアランプ」。風にそよぐ藤棚のようなやわらかな曲線美を表現するため、低・中・高の三層に分割して構成。高さに応じて曲面の形状やゆらぎの幅を微細に変化させることで、街並みを映し込みながら、見る距離や角度によって変化する多彩な表情を生み出している。遠くからは静かな大きなゆらぎを、近づくほどに繊細な風の流れを感じさせる設計だ。

ニューヨークの本店「ザ・ランドマーク」も手掛けたピーター・マリノによる店内には、50点以上のアートや日本初公開のアーカイブを展示。ティファニーのフィロソフィを現代的に表現した空間が、銀座という歴史ある街に新たな彩りを添えている。

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ティファニー ブルーのやわらかな光が差し込む。ピーター・マリノがデザインした店内は、アートやインスタレーションが空間を彩る。

ティファニー 銀座

住所:東京都中央区銀座6-9-2
TEL:0120-488-712
営業時間:10時30分~20時30分
定休日:不定休
www.tiffany.co.jp
【設計者】AS
青木淳が1991年に設立した青木淳建築計画事務所を母体に、2020年に品川雅俊をパートナーに迎えASに改組。青森県立美術館をはじめとした美術館や世界的メゾンの店舗設計などを数多く手掛ける。

※この記事はPen 2025年10月号より再編集した記事です。