「大人の名品図鑑」ジミー チュウ編
グローバルラグジュアリーアクセサリーブランドとして世界的な知名度を誇るジミー チュウ。中でもアイコン的存在である「スタースタッズ」のシューズは、セレブリティをはじめ多くの人々を魅了し続けてきた。そんなブランドから登場したメンズの最新作は、クラシックなローファーに現代的な感性を注ぎ込み、時代を超えて輝きを放つ一足。10年後、20年後も“名品”と呼ばれるであろう、圧倒的な存在感を放っている。ポットキャストを聞く(Spotify/Apple)
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ロンドンに根ざす、ジミー チュウの原点
アカデミー賞をはじめとする華やかな場で、多くのセレブリティに選ばれてきたブランド、ジミー チュウ。アイコンである「スタースタッズ」を配した革靴やスニーカーは男性からも熱い支持を集め、いまや世界的ブランドとして揺るぎない地位を築いている。
グローバルに展開されるがゆえに見落とされがちだが、そのルーツはイギリス・ロンドンにある。創業者のジミー・チュウは、英国靴好きなら誰もが知る名門コードウェイナーズで本格的な靴づくりを学んだ後、1980年代にイーストロンドンでビジネスをスタートした。1996年には自身の名を冠したブランドを設立し、来年2026年に創業30周年を迎える。
そして現在までブランドを支えてきたのが、創業当初からブランドに参画し、現在クリエイティブ・ディレクターを務めるサンドラ・チョイだ。彼女はジミーの義理の姪であり、多くのファッションデザイナーを輩出する名門セントラル・セント・マーチンズで学ぶ傍ら、ジミーのアトリエで経験を積み、靴職人としての技術と感性を磨いてきた。ジミー チュウの靴づくりの真髄を知り尽くす存在として、創業以来のクラフツマンシップとメゾンの伝統を継承していることが、このブランドの最大の強みでもある。
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クラシックと伝統を進化させた、“大人のローファー”

今季の新作として登場したのが、クラシックでトラディショナルな装いには欠かせないローファーの「BUFF(バフ)」だ。モデル名が示す通り、力強さを感じさせる佇まいで、丸みを帯びたトゥとボリュームあるシルエットが印象的。ローファーの特徴でもあるモカ部分やサドルには繊細なステッチが施され、厚みのあるラバーソールによって現代的な履き心地も実現している。


サンドラ・チョイは「伝統は必ずしも伝統的でない、という考え方が好きです」と語っているが、そんな彼女の考え方を体現するように、ローファーの典型的なデザインやディテールを踏襲しながらも、随所にメゾンの美意識を宿した一足に仕上がっている。フォーマルからカジュアルまで、幅広い装いに寄り添い、洗練された印象をもたらしてくれる、まさに“大人のローファー”といえるだろう。
ラインナップはシンプルさを基調にした「BUFF」と、ヴァンプにメタル付きのタッセルを配した「BUFF TASSEL」の2型。後者からはブランドのルーツであるロンドンらしい風格が漂う。カラーは、ヴィンテージ感のあるブラッシュドレザーの「MOCHA」と、艶やかに磨き上げられたボックスカーフの「BLACK」の2色が揃う。秋の装いを格上げしてくれるにローファーになるに違いない。

シンプルでミニマルな印象を備えた「BUFF」のBLACK。スーツやジャケットを使ったドレッシーなスタイルはもちろんのこと、モード感漂うスタイルまで、幅広いシーンで活躍する万能ローファーだ。靴 ¥132,000/ジミー チュウ

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職人技が息づく、多彩なメンズコレクション

さらに、注目のシリーズ「ELLIS(エリス)」にも目が離せない。しなやかな屈曲性を備えたソールに加え、靴を職人が完全に裏返して仕上げるブランド独自の「リバース製法」を採用。ストレスのない、包み込まれるような履き心地は、“革靴=硬い”というイメージを覆すものだ。アッパーにバイソンプリントを大胆な取り入れたモデルや、サドルやヒールにスタッズを配したモデルなど、多彩な表情で展開されている。
クラシックを再構築し、独自の進化を遂げたジミー チュウのローファー。その一足一足には、英国の本格的な靴づくりの伝統と、常にアップデートを重ねてきたメゾンの矜持が息づいている。まさに新たな“名品”と呼ぶにふさわしい存在だ。
