選べる自由が、ラグジュアリーを変える。オブジェクツアイオー「マグウェア」が描く次のフェーズ

  • 写真:清水健吾
  • 文:倉持佑次
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5年間の進化を経て、8月にリリースされた新型マグウェア。ブラックとマシュマロの2色で展開され、従来モデルから素材の耐久性、ストラップの着脱機構、カードケースの薄型化など、細部にわたるアップデートが施されている。洗練されたミニマルなデザインはそのままに、機能性がさらに向上した。スリムカードホルダーセット(左)¥30,800、ウォレットセット(右)¥35,200

iPhoneのMagSafe機能を活用し、磁力で着脱できるカードケースやウォレットなどのアクセサリーを組み合わせるobjcts.io(オブジェクツアイオー)の「MagWear(マグウェア)」。同製品は、スマホを“身に着ける”という独創的な発想を軸に据え、この5年間、絶え間ないアップデートを重ねてきた。そしてこの8月、さらなる進化を遂げた新型がラインアップに加わる。成熟を重ねてきたラインにいっそうの深みを与えるとともに、次世代のラグジュアリーを静かに提示する試みである。

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細部に宿る進化の証明

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レザーの質感を保ちながら実用性を高めた素材改良により、日常のあらゆるシーンで長く愛用できる製品へと進化した。

一見すると控えめな印象を与える今回のアップデート。しかしその内側には、妥協なき改良の積み重ねが息づいている。まず注目したいのは、レザー自体の耐久性が大きく向上し、美しい状態をより長く保てるようになった点だ。これは、品質管理チームが負荷テストや耐久テストを繰り返した成果であり、上質なレザーの質感を保ちながら強度を高めることにも成功している。こうした改良によって、使うほどに愛着が湧く、長く付き合える相棒へと進化した。毎日手に取るアイテムだからこそ、このような実用性の進歩は、体験価値に直結する。

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スライド式連結機構のディテール。金属パーツが噛み合うように設計され、横方向の力で簡単にスライドする構造になっている。マグネットによる固定力と、スムーズな着脱操作を両立させた技術的な工夫が施された。

一方で、最もわかりやすい変化はストラップシステムの進化である。従来は長さが固定されていたストラップが長さ調整可能となり、体型や服装に合わせて自在にアレンジできるようになった。さらに注目すべきは、ストラップとアクセサリーをつなぐ連結部に新たに採用されたスライド式の金具構造だ。横からスライドするだけで簡単に取り外せる仕様でありながら、金具が組み合わさるような形状と内蔵されたマグネットの磁力によって、日常利用の中では簡単に外れにくいような設計を実現している。使いやすさと美しさという相反する要素を両立させたこの設計の妙こそが、オブジェクツアイオーの思想を体現している。

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現代人の移動に寄り添う設計思想

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新旧カードケースの厚み比較。新モデル(右)は従来品と比べてより薄型に設計され、iPhoneカメラでの撮影時にアクセサリーが映り込みにくくなった。使いやすさを損なうことなく、現代的な使用シーンに最適化されている。スリムカードホルダー(単体)¥20,900

今回のアップデートの中でも、カードケースの設計変更はユーザーの声をもとに実現した象徴的な改良といえよう。従来モデルより厚みを抑えることで、iPhoneのカメラ使用時にアクセサリーが写り込むストレスを軽減している。この変更は単なるスペック向上ではなく、スマートフォン撮影が日常化した現代のライフスタイルに寄り添う、きめ細やかな配慮にほかならない。機能を削るのではなく、本当に必要とされる要素だけを見極めて洗練させる。それこそが、オブジェクツアイオーの考える真の進化のかたちなのだ。

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進化したマグウェアの全ラインアップ。それぞれ異なる用途と収納力を持ち、ライフスタイルに合わせた選択が可能だ。左上から時計回りに、レザーパース¥29,700、ウォレット¥25,300、スリムカードホルダー¥20,900、マイクロバッグ¥27,500(それぞれ単体価格)

また、カードの出し入れがより自然になるよう、スリーブの位置も見直された。同時に、各アクセサリーの素材感や色合いにも微調整が施され、全体として一層洗練された印象を演出している。こうした表面的な変化に加えて、ストラップの質感向上やマイクロバッグの収納効率の最適化など、細部にわたる改良の積み重ねが、製品全体の完成度を押し上げているのである。これらの変更に共通しているのは、現代人のライフスタイルに合わせてプロダクトが柔軟に進化しているという点だ。時代の変化とともに歩み続け、アップデートし続ける製品——。このようなしなやかな適応力こそが、オブジェクツアイオーの本質であり、長く愛され続ける理由でもある。

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選択の自由が生み出す新しいラグジュアリー

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オブジェクツアイオーのデザイナー兼製品開発責任者・角森智至。デバイスとの関係性を見据えた設計思想で、新しいラグジュアリーのかたちを提示する。

オブジェクツアイオーのデザイナー兼製品開発責任者・角森智至にとって、「完成」という言葉に終着点はない。「完成することは一生ないと思っている」と語る彼の姿勢には、創造への飽くなき情熱がにじむ。角森は、iPhoneなどのデバイスが現代人の生活を支えるインフラであるという前提のもと、「仮にiPhoneがなくなっても、デバイスとの関係性そのものは今後も変わらず重要だ」と話す。今ある製品に固執せず、常に変化を受け入れ、未来を見据えた設計を志向しているのだ。

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日常のワークスペースに自然に溶け込むマグウェア。Apple製品との親和性の高さと、モダンなデザインによって、デスク周りのアクセサリーとしても機能する。使わない時も美しいオブジェとして空間に馴染む設計思想が表れている。マイクロバッグセット¥37,400、レザーハイブリッドチェーンバンド シルバー925 for Apple Watch ¥110,000

マグウェアは、アクセサリーを気分や用途で付け替えながら楽しめる存在として、従来のラグジュアリーとは異なる価値観を提示している。スタイルを押し付けず、使い手の創造性を刺激する設計。角森が掲げる「使い手をさまざまな制限から解放し、心が動くような美しいプロダクトを生み出したい」という信念は、実用性と美意識の境界を越え、新しいラグジュアリーのあり方を示している。選ぶ自由、組み合わせる楽しさ、そして日常に溶け込む美しさ。オブジェクツアイオーが提示する未来は、すでに私たちの手の中にある。

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