若手からファッションメゾンまで、注目のプロダクトたち
2025年のミラノデザインウィークはエウロルーチェ(照明)の年だったが、ファブリックも多数登場。ファッションメゾンのアイテムから新進気鋭の若手の照明まで、編集部がセレクトする注目アイテムを一挙に紹介しよう。
いま、ヴィンテージが面白い。本特集では、目の肥えたクリエイターたちが愛用している品から、いま訪れるべき話題のギャラリーや海外での暮らし、人気店のオーナーが目をつけているネクストブレイクまで、ヴィンテージの魅力や注目アイテムを徹底取材してお届けする。ようこそ、まだ見ぬ、奥深きヴィンテージの世界へ。
『ようこそ、 ヴィンテージへ』
Pen 2025年8月号 ¥990(税込)
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1.一枚の布が魅せる可能性、照明となって花開く
エイポック エイブル イッセイ ミヤケ
布の可能性を追求してきたエイポック エイブル イッセイ ミヤケ。スイスが拠点のデザインスタジオ、アトリエ オイと協業し、ポータブル照明「オーシリーズ」を発表した。シェード部分はブランド独自のスチームストレッチ技法から生まれた布、照明はアンビエンテック製。花がインスピレーション源だというこの照明、1枚の布を1本のワイヤーが支え立体となる仕組み。花を生けるように空間にあわせてアレンジできる。2026年発売予定。

photo: © ISSEY MIYAKE INC.
2.六角形に閉じ込めた、老舗が培ったLED技術
フロス
プラダでは車両を貸し切ったトークイベント、カッシーナではパフォーマンスを展開するなど、今年のMVPデザイナーと言っても過言ではない程に話題だったフォルマファンタズマ。今回、照明の老舗フロスから「スーパーワイヤー」を発表。六角形をモチーフとしたガラスの立体の中にチューブ状のLEDが入っている。環境に配慮しガラスを選択、簡単に取り外してLEDを交換できることが特徴だ。日本では2025年冬に発売予定。

photo: FLOS
3.ベッドサイドを優しく照らす、月の満ち欠け
ポルトローナ・フラウ
デジタルアートからプロダクトまで幅広く手掛けるバルセロナ拠点のスタジオ、シックス・アンド・ファイブ。これまで幻想的なデジタルアートを発表してきた彼ららしく、月の満ち欠けを表現した「ムーンビームランプ」が高級ブランドのポルトローナ・フラウから登場。レザーで仕上げた手前のディスクの奥にガラスの照明が灯る。白・青・赤に発光し、レザー部分は真鍮など他の素材も選択可能。日本での展開は残念ながら現在未定。

photo: Poltrona Frau
4.つば広帽子のシェードが、アイコニックな存在に
ミッドガルド・リヒト
ドイツの照明ブランド、ミッドガルド・リヒトはセバスチャン・ヘルクナーの新作「ローヤ」を発表。優しく照らす半透明ガラスシリンダーに、紙製のシェードを接合・接着せず、そのまま「乗せた」照明。素材はすべてリサイクルでき、パーツの交換や修理も容易だという。写真のフロアランプのほか、テーブルランプ、ペンダントランプがあり、まるで帽子を被っているかのような佇まいがかわいらしい。日本では2025年秋頃発売予定。

photo: © Midgard Licht, Foto P.Fehrentz
5.日本の若手が生んだ、シンプルで軽やかなかたち
アアティズモ
日本人のデザインユニット、アアティズモは35歳以下のデザイナーだけが出展できるサローネサテリテで発表した。なかでも照明「シード」が秀逸。円盤状の半透明の発光面と半円形の金属フレームから成るシンプルな形状で、フレームは手で持ちやすく壁にかけることもできる。植物の種子が風や生物によって運ばれ、生存範囲を広げていくイメージから「シード」と命名。今後ポータブルになれば、さらに軽やかな存在になるだろう。

photo: Shinya Sato
6.ポータブル照明の旗手に、木製が仲間入り
アンビエンテック
日本発のポータブル照明アンビエンテックの新作で話題だったのが、ブランド初の木を使った照明「ヴォスコ」。デザイナーは同ブランドのヒット作「ターン」を手掛けた田村奈穂。使い続けることで手に馴染み、丸みを帯びる木製の道具から発想を得ている。木製の部分は3つのサイズ、3種の木材から選べる。これはカリモクの協力によって実現した。また新開発のフレネルレンズを採用し、やわらかく均一な光を実現。2025年12月に発売を予定。

photo: Ambientec