すぐほどける靴紐はもうイヤだ! 現代版スニーカーの新ライフハック6選

  • 写真・文・編集:一史
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「靴紐をしっかり結んだつもりなのに、すぐほどけてしまう」、そんなときはまず紐を交換しよう。発想を変えて“結ばない靴紐”を使う手もある。スニーカーを履くときの靴紐問題を解決する6つのライフハック。

1.靴紐をコットンに交換する

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コットンまたはザラついた表面を持つ、ほどけにくい靴紐。

靴紐が妙にほどけるスニーカーがあるときは、まず紐に問題があることを疑おう。おそらくツルッとした光沢がある化繊素材のはずだ。人口的な石油原料の糸は滑りがよく絡まりにくい。「滑って絡まらない=摩擦が少ない」ため結び目が緩んでしまう。ならば摩擦のあるザラついた紐に変えれば解決する。ベストチョイスは昔ながらのコットン(綿)素材だ。
ただし紐がコットンかどうかを見分けるのは難しい。化繊でもザラついていれば機能するので、凹凸を感じるものを選ぼう。
なおスポーツメーカーのスニーカー紐の多くが化繊なのは、伸び縮みしやすさ、水に濡れたときの乾きやすさ、本体に馴染む風合いなどの理由がある。コットンは伸縮性に劣るうえに、染み込んだ汚れを洗い落とすのも一苦労だ。このたりの事情も踏まえつつ、自身の生活に合う紐を探していこう。

2.「イアン・セキュアノット」で結ぶ

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イアン・セキュアノットで結ぶ工程の1段階。左右の紐を輪のように束ねるのがコツだ。

「イアン・セキュアノット」と呼ばれる結び方が強力だ。いつもやっている蝶結びのアレンジでしっかりと固定できる。ほどくのも靴紐の先端を引っ張るだけのイージーさだ。
写真では伝えにくいため申し訳ないのだが、この名称で動画などを検索して結び方をご参照いただければと思う。ここでは簡単に言葉で説明しておく。
蝶結びの途中でいったんストップして、頭を切り替えるのがコツ。左右の紐をどちらも輪のように折り畳む。それぞれの輪を単なる1本(左右だと2本)の紐と考えると、その後の作業がやりやすくなる。左右の輪をX印に交差させると、根元に輪状態の空間ができる。その空間に左右の輪をぐるりと巻き付けて、横に引っ張れば完成だ。ひとつの輪は奥から手前に、もうひとつの輪は手前から奥に、それぞれ別方向から巻き付ける必要がある。
ほどけにくい結び方の例によく挙がる「イアン・ノット」より、さらに効果的とされるイアン・セキュアノット。実はこのライフハック記事制作者は、イアン・ノットは概念的なパズルのようで紐をうまく扱えず苦手だ。一方でここに紹介したイアン・セキュアノットは一度やっただけで身体が覚えた。頭が混乱せず直感的に対処できるいい結び方だと思う。
ただひとつ難点があり、それは結び目が少々ゴツくなること(巻き付けが多いため)。スマートなシューズには不釣り合いかもしれないので、その点にはご留意を。

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3.結び目を固くする液体に頼る

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布に染み込ませ繊維のバラつきを防ぐ液体を結び目に塗る。

靴紐の結び目が固くなれば、ほどけにくくなる。カットした布の端がほつれるのを防いだり、ストッキングの伝線止めにも使う液体を試してみよう。手芸店でよく見かける製品だ。

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ロングセラーの「ほつれストップ液」。同様の製品を幾つか使ったうち私的ベストがこれ。

紐がほどけるのを防ぐ最善の方法は、結んだ状態をキープしたまま脱ぎ履きすること。きつく縛って固定させてしまうのが一番だ。紐靴でなくスリッポンシューズと考えてしまえばいい。しっかり歩ける程度にゆとりを持たせて固定すれば、脱ぐときもわずかな力でスポッと足を外せる。
これだけでほぼ問題が解決するのだが、さらに固定力を高めるために結び目を少し固くする製品を使うのも手だ。掲載した「ほつれストップ液」は一般の接着剤と違い柔らかさを保ち、ベタつきもほとんど感じられない。

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コットン紐の結び目に塗布した直後の濡れた状態。このあと乾いて目立たなくなった。

ひとつ持っていると生活に便利な品である。ただし乾いても濡れたように色が濃く残りやすい点にはご注意を。生地端のほつれ止めが目的の品だから仕方ないところだ。目立たない箇所でテストしてから試そう。

4.結ばないゴム靴紐を使う

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スリッポンのように脱ぎ履きが自在になるゴム紐をセットしたスニーカー。

靴紐のほどけ問題に対処するこのライフハック記事のなかで、もっともおすすめしたい本命のテクニックがゴム靴紐の活用である。上写真はこの紐に交換したスポーツスニーカー。不自然さがなくすっきりとまとまっている。通常の紐結びより断然スタイリッシュに思える。便利さに加えてルックスも美しくなる点が、このゴム紐をプッシュする大きな理由だ。

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左右の紐と金属パーツでワンセット。スニーカーに合わせたジャストの長さでカットするため作業は慎重に。

紐結びスニーカーをスリッポンに変えてしまうグッズだ。必要な長さが決まったら、余った部分の先端をハサミでカット。先端に結び目をつくり金属パーツに押し込む。ネジ式の金属パーツの左右をセンターでドッキングさせれば完成する。

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ゴム紐でも見た目はスポーツシューズの靴紐だ。靴紐を結ぶ時間がなくなり慌ただしい朝の外出が楽になる。

大人が懸念するチープさはほぼ感じられないと思う。この手の品は幾つかのメーカーから販売されているが、金属パーツと紐の色を揃えているものが多い。スニーカーにセットしたときパーツが悪目立ちしないように配慮されている。
なおゴム靴紐は本格スポーツ時には不向きかもしれない。日常的な歩きには支障なくても、激しい足の動きには柔らかすぎて安定しない可能性がある。タウンユースで採用するのがよさそうだ。
さらにゴムだけに耐久性や製品寿命もやや懸念される。この点も頭の片隅に入れておこう。

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フィット調整できるプッシュ式コードストッパーつきのゴム靴紐をセットしたスニーカー。

こちらも別のゴム靴紐。アウトドアサンダルのKEENのようなボタンプッシュで紐を縛るパーツがついたものである。シンプルなゴム靴紐と比べ、こちらはアウトドア感が強いのが特徴。レトロなスニーカーでもこれに変えるとモダンに見えてくるから面白い。利便性を別にしても、デザイン面で使う楽しみのある製品である。

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ゴムだからストッパーを操作して履き口を広げなくても楽に脱ぎ履きできる。

ここに掲載している紐は、反射素材が織り込まれたリフレクタータイプ。車のライトなどを反射してギラッと光る。昨今流行している2,000年代復刻スニーカーはランニングシューズが多く、反射素材が使われているものが多い。紐を変えるだけでこのトレンド感を味わえるのもお得な気分だ。

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5.結ばないサロモン靴紐を使う

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サロモン専用の靴紐に交換した薄底スニーカー。

上写真を見て「プーマ スピードキャット OGの新作!?」と勘違いする人もいるに違いない。アクティブな靴紐がスニーカーにしっくりと馴染んでいる。だがしかし樹脂パーツをよく見ると、「S」のマークに気づく。そう、この紐はサロモンのシューズ専用の別売り靴紐なのだ。

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こちらもジャストの長さでカットするタイプ。垂れ下がらないように先端を短めに整えよう。

ゴム靴紐のような伸縮性がなくワイヤーのように細く固い紐。これもゴム靴紐と同様に自分でカットしてパーツをはめ込んで使う。サロモンのスニーカーの美しさに一役買っているアイコンパーツなだけに、高級感は類似品より一歩上の印象だ。紐の細さも優雅なムードに大きく貢献している。

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片足がサロモン靴紐、もう片足がオリジナルの赤い靴紐。どちらがいいかはまったくの好みだろう。私的にはサロモン紐のシャープさが気に入っている。

似合うスニーカーとそうでないものにはっきりわかれる紐でもある。手持ちのスニーカーでいろいろ合わせてみよう。細紐だから靴穴に負荷が掛かりやすいことも覚えておきたい。強く縛らずゆるい状態で履けるスニーカーに使えば、アッパーを損傷する不安が減る。

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商品名は「QUICKLACE KIT」。サロモンのオンラインストアや実店舗、スポーツ用品店などで購入できる。

色は掲載のグレーのほかに赤、黒、白が現在ラインナップされている。ただすべて樹脂パーツの色が黒なのが少々残念だ。スピードキャット OGはソールが黒だから馴染んでいるが、黒パーツが全体の色バランスを損なうスニーカーもあるだろう。

6.最終手段:紐なしのスニーカーを履く

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ザ・ノース・フェイスの現行モデル「ヘッジホッグ RVST ミュール」。しっかりと足を包み込む安定感のあるスリッポンだ。Pen Online「着る/知る Vol.197」より。※記事末にリンクを掲載。

スニーカー紐が苦手ならば、このさいスリッポンを履くのはいかがだろうか。特に暑い夏場はサンダル気分で足入れしやすく便利だ。軽やかな服装にもよく似合う。近年はスポーツメーカーのラインナップに洒落たスリッポンが多くなった。ワードローブに一足加えるのにいい頃合いである。

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インソールがレザーで素足履きも想定されたサロモンの現行ワンストラップシューズ「RX MARIE-JEANNE」。Pen Online「着る/知る Vol.196」より。※記事末にリンクを掲載。

先端感覚を狙うなら、上写真のようなワンストラップのメリージェーン型がいい。男女問わずいまメリージェーンの人気が高まっているようだ。このサロモンの新作も黒は発売後に即完売、現在は掲載のパステルトーンの色を残すばかりになっている。
一時期のローファースニーカーと同じように、今後各メーカーからメリージェーンがリリースされていく可能性は大いにある。トレンドに敏感なプーマは、モストロやスピードキャットをメリージェーンにアレンジしたモデルを既に発売済みだ。

ほどけたりパンツの裾に引っかかる靴紐がないスマートなスニーカーこそ、もっとも現代的なデザインなのかもしれない。メリージェーンにせよスリッポンにせよ、靴紐の煩わしさや束縛から解放されるシューズとの出会いを愉しもう。

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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