カルティエを代表するウォッチコレクション「サントス ドゥ カルティエ」に、新たなスモールモデルが登場した。日本国内のカルティエ ブティックおよび公式オンラインブティックで発売されているこの新作の注目点は、34.5×27㎜というコンパクトなサイズだ。

この寸法には深い意味がある。1904年に誕生した歴史的な最初の「サントス」ウォッチのサイズ感を思わせるものなのだ。飛行士アルベルト・サントス=デュモンのために、ルイ・カルティエが世界初の実用的な腕時計として制作したオリジナルモデル。その精神が120年の時を経て、再び形になった。

ディテールに目を向けると、サンレイ仕上げが施されたダイヤル、ローマ数字のインデックス、剣型の青いスチール針など、すべてが「サントス」の伝統的なデザインコードを忠実に継承していることがわかる。光の角度によって表情を変える美しい輝きも、1904年から変わることのない魅力のひとつである。
特に注目すべきは、角に丸みを帯びたスクエアケースと、ベゼルを留める8本のビスだ。それまで時計製造において見えないように配されてきたビスを、あえてデザインの一部として主張したこの革新的なアプローチは、後に同コレクションのデザインコードとして確立された。機能美を隠すのではなく、堂々と見せる——この発想の転換こそが、「サントス」の真の革新性なのである。

素材は3つの選択肢が用意された。ステンレス・スチール、ステンレス・スチールとイエローゴールドのコンビネーション、そしてイエローゴールド。それぞれにメタルブレスレットとレザーストラップが付属し、付け替えも可能だ。機能面では、電池寿命の長い高効率クオーツムーブメントを搭載。日常使いにおける実用性と精度を重視した。現代の着用者が求める機能性への配慮が、素材選択からムーブメントまで一貫して表れているといえるだろう。
控えめでありながらも確かな存在感を放つこの新作は、多様化するライフスタイルに寄り添いながら、120年の歴史を持つ「サントス」の遺伝子を継承する。小さなケースに込められた革新性こそ、カルティエらしい時計づくりの哲学を体現した証拠である。



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