大奥の世界に迫る特別展『江戸☆大奥』が国立博物館で開催! 浮世絵から刺繍の着物まで、知られざる“女の城”の記憶

  • 文:Pen編集部
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『千代田の大奥』より「千代田大奥 御花見」 楊洲周延筆 明治27年(1894) 東京国立博物館蔵。※会期中に展示替えあり。                                            

豪華な着物に身を包み、将軍のすぐそばにいながらも、世間の目に触れることはなかった「大奥」の女性たち。その知られざる暮らしぶりと、美しくも静かな権力が潜む世界を紐解く特別展『江戸☆大奥』が、7月19日より東京国立博物館・平成館で開催される。

ドラマや映画で繰り返し描かれてきたこの舞台は、実際にはどのような場所だったのか。将軍家の正室や側室、女中たちが暮らす大奥は、華やかな衣装としきたりに彩られた生活空間であると同時に、世継ぎや家督をめぐる静かな駆け引きが繰り広げられる“女の城”でもあった。本展では、婚礼の時に使われた煌びやかな道具や、刺繍が美しい布など、当時の女性たちのファッションや趣味などを通して、大奥のリアルな姿に迫る。その中でも特に注目したいのが、浮世絵師・楊洲周延による「千代田の大奥」シリーズだ。花見や茶会など、大奥の日常生活を丹念にすくい取った全40場面の実物が揃う貴重な機会だ。

また、四季折々の衣装、かるたや楽器などの遊び道具、女性の歌舞伎役者が纏った衣装なども見どころのひとつ。空間構成は、大奥の誕生と構造からそこで暮らす人々の心の機微に至るまで、四つの章で丁寧に紹介。制度に縛られながらも、そこに芽吹く美意識や知恵を感じられる内容となっている。

江戸城の奥深くに存在した“もうひとつの政治空間”。静かだが力強いその世界を、じっくり味わってみてはいかがだろうか。

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『奥奉公出世双六』 万亭応賀作、歌川国貞(三代豊国)筆 江戸時代19世紀 東京都江戸東京博物館蔵。※前期展示
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重要文化財 刺繡掛袱紗 浅葱繻子地杜若と撫子に酒器「長生」字模様 瑞春院(お伝の方)所用 江戸時代 17~18世紀 奈良・興福院(奈良市)蔵。※前期展示
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小袿 萌黄地葵唐草筥牡丹紋二陪織物 天璋院(篤姫)所用 江戸時代19世紀 東京・公益財団法人 德川記念財団蔵。※展示期間:9月2日(火)~9月21日(日)
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竹菱葵紋散蒔絵婚礼調度 鶴樹院(豊姫)所用 文化13年(1816)東京国立博物館蔵。

特別展『江戸☆大奥』

開催期間:7月19日(土)~9月21日(日)
※前期:7月19日(土)~8月17日(日)、後期:8月19日(火)~9月21日(日)
開催場所:東京国立博物館 平成館
東京都台東区上野公園13-9
開館時間:9時30分~17時 ※入館は閉館の30分前まで
※金、土、7/20、8/10、9/14は20時まで
休館日:月、7/22
※7/21、8/11、9/15は開館
入場料:一般¥2,100 ※前売券:¥1,900
https://ooku2025.jp