創業250周年を迎えるブレゲが、記念すべきアニバーサリーイヤーの第3弾として「タイプ XX 2075」を発表した。パリでの「クラシック スースクリプション 2025」、上海での「トラディション 7035」に続く今回、ニューヨークという発表地の選択には深い歴史的意味が込められている。

それは1930年9月1日から2日にかけて成し遂げられた、パリからニューヨークへの大西洋横断飛行という偉業に遡る。ブレゲXIXスーパービドンに搭乗した飛行士デュドネ・コスタとモーリス・ベロンによるこの歴史的快挙を記念し、機体の両側に大きな「?」を描いた愛機は「クエスチョンマーク号」と呼ばれた。
創業250周年を祝う第三弾となる新作は、この記念すべき飛行と創設者アブラアン-ルイ・ブレゲの5代目子孫で航空機製造者のルイ-シャルル・ブレゲという、時計と航空をつなぐ血脈へのオマージュとして誕生した。

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新素材と歴史が融合する、時空を超える記念モデル
1955年の代表的モデルから着想を得たふたつのバリエーションは、いずれも18Kブレゲゴールド製で直径38.3㎜のケースを採用。搭載する手巻きムーブメント「キャリバー728」の派生版には、通常3回必要なボタン操作を1回で完結させるフライバック機能が備わり、パイロットが愛用した実用性を現代に蘇らせている。

特筆すべきは文字盤への素材へのこだわりだろう。ブラックモデルでは航空機製造に欠かせない軽量合金「ジュラルミン」の主成分であるアルミニウムを文字盤素材に採用し、陽極酸化処理によって深い漆黒と、極限環境下でも変色や劣化しない航空宇宙レベルの耐久性を実現。対する250本限定のシルバーモデルにはスターリングシルバー925を用い、タキメータースケールという機能的差別化も図った。

さらに感動的なのがケースバックの手彫り装飾である。大西洋を横断するブレゲXIXの雄姿、1930年の正確な飛行経路、そしてヨーロッパと北アメリカの沿岸線が職人の手によって丹念に刻まれ、時を超えた航空史への敬意が表現されている。
95年前に大空に響いた疑問符は、いま、確信へと変わり私たちの腕で時を刻む。ブレゲの250年にわたる革新の歴史が、この特別なタイムピースとともに新たな冒険へと飛び立とうとしている。


ブレゲ
TEL:03-6254-7211
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