時間を見るだけなら、スマホでもいい。「でも、そこに腕時計があることに意味があると思うんです」。俳優の松坂桃李がIWCの新作を着用し、映画やドラマの劇中における腕時計の重要性について、そして演じることについて語った。

「僕らの人生が時間というものの存在と切り離せないように、映像作品を最も支配しているのは時間です。腕時計はその時間というものを表現するひとつの重要なアイテムです」
そう語るのは、2027年のNHK大河ドラマでの主演も発表されるなど、話題作への出演が続く俳優・松坂桃李。最新作のダイヤモンド・プリンセス号での新型コロナウイルス集団感染を描いた映画『フロントライン』ではDMAT(災害派遣医療チーム)と対峙する官僚役を熱演。25年3月まで放送されたテレビドラマ「御上先生」では、エリート官僚から高校教師へと転身する主人公を演じ、話題となった。
そんな数々の出演作の中で松坂は、しばしばIWCの腕時計を着用してきた。演じる人物像と腕時計の関係性を強く意識する彼は、IWCを自ら衣装として選ぶことも。「自分のことをきちんと分析し、俯瞰で見えている。そんな地に足のついた大人が身に着ける腕時計」と、そのイメージを話す。
そんなIWCとの縁も深い松坂が今回、スポーティかつラグジュアリーな「パイロット・ウォッチ・パフォーマンス・クロノグラフ 41」とクラシカルな「インヂュニア・オートマティック 35」の2本を着用。印象の異なる2本の新モデルと向き合ったこの日、どんな“時間”を感じたのだろうか。
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腕時計について考えると、役柄のイメージが膨らむ

「パイロット・ウォッチ・パフォーマンス・クロノグラフ 41」に、レザージャケットとブラックタイのコーディネートで、男らしくも大人の品格を見せる松坂。ジャケット¥176,000/タンジェネット(タンジェネット eメール: mitsuruyoshiya@gmail.com) シャツ¥35,200、ネクタイ¥46,200/ともにユーゲン(イデアス TEL:03-6869-4279) 他はスタイリスト私物
演じる人物が、どんな腕時計を着けているのか。
「台本に書かれていない部分をさまざまに想像するんです。不思議だけど、腕時計について考えるとイメージがぐっと膨らむんです。たとえば『結婚の記念に贈られた時計を大事に着けているんじゃないか』とか、『なにかを乗り越えたタイミングで自分に買ったんじゃないか』とか」
そんな想像を重ねていくと、腕時計をめぐる動作ひとつで、その人物を表現できるのだという。
「『御上先生』の時もそうでした。黒板に文字を書く前に腕時計を外して、終わったらまた着ける。黒板も腕時計も傷つけないように、外した腕時計は文字盤を上にして教壇に置く。そういう所作に、人物の性格があらわれる気がするんです。動作はごく自然で、教師生活が長いわけでもないのに、当たり前のように習慣化されている。つまり御上はとてもきちんとした人物である、ということを表現しているんです」
わずかな仕草に、生き方や重ねてきた時間が宿る。松坂はそれを表現する。

「レザーを羽織って、四駆で海沿いを走って現場に向かう。そんな男性のイメージが自然に浮かびました」
IWCの新作「パイロット・ウォッチ・パフォーマンス・クロノグラフ 41」を松坂はそう評する。手首にしなやかに沿うブラックラバーのストラップ、タキメーター付きのブラックセラミックベゼル、そして艶のある18Kレッドゴールドケースの組み合わせが、アクティブでどこか余裕のある男の横顔を描き出す。
「ケースは男っぽいのにベルトは細身というバランス感が好みです。どこかスマートで、ちゃんとIWCらしくエレガントさもある」
松坂は腕時計に目を近づけ、ブラックのラッカー仕上げ文字盤を仔細に観察する。
「黒でもない、青でもない、不思議な色合い。見るたびに印象が変わって面白いです」
反射防止加工を施したガラスが、光の加減で色にゆらぎをもたらす。そこには所有する楽しさがある。

IWCは現在公開中のブラッド・ピット主演映画『F1/エフワン』を全面サポートし、120本以上の腕時計を衣装として提供。松坂が着用した「パイロット・ウォッチ・パフォーマンス・クロノグラフ 41」も、ダムソン・イドリス演じるジョシュア・ピアスの腕時計として劇中に登場する。(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
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「時を見る動作」そのものに、美しさを感じる

この日、松坂が着けたもう1本の腕時計は「インヂュニア・オートマティック 35」。軽やかなグレースーツに、小ぶりなサイズ感と控えめな輝きが品よく寄り添う。ジャケット¥205,000、シャツ¥74,000、パンツ¥98,000/すべてピーター ウー(エム TEL:03-6721-0406) 他はスタイリスト私物
松坂には、腕時計と付き合う上での譲れないこだわりがあるのだという。
「時間を知りたい時は絶対に腕時計を見ます。スマホでも時刻を知ることはできるけれど、それだと仕草がきれいじゃない気がするから。時を見る動作には、動きそのものの美しさがあると思うんです」
シンプルなアナログ時計が松坂の好み。毎朝、手に取って針の動きを確認する。その動作で気持ちが整うという。
「アナログなものは、少し面倒だけどそれがいいんです。手をかけるうちに愛着も湧きます」
そう目を細めて話す松坂にとって、腕時計は日々を整える「習慣」に近いのかもしれない。日々の暮らしのなかで、小さなリューズで時刻を合わせるわずかな時間の重みを知る松坂だから、あの静かな言葉、かすかな表情の変化で深い感情を込めた演技ができるのかもしれない。
「そうですね。大きく目立つことなく、ちゃんと伝わる、そんな表現は好きかもしれない。必要であればなんでもやりますけど(笑)」

インヂュニア・オートマティック 35 /時計界の巨匠デザイナー、ジェラルド・ジェンタによるデザインをベースとした「インヂュニア」コレクションから、35㎜のスモールサイズが新登場。ダイヤルのグリッドパターンやベゼルの機能ネジなどのアイコニックなデザインはそのままに、絶妙なバランスで小型・薄型化を果たした。自動巻き、SSケース&ブレスレット、ケース径35.1㎜、パワーリザーブ約42時間、シースルーバック、10気圧防水。¥1,554,300
そんな彼が手に取った「インヂュニア・オートマティック 35」は、例えるなら、「控えめに、けれど確かに印象を残す人」。直径35.1㎜のコンパクトなケースに、IWCのクラフツマンシップが凝縮された一本は、1976年に登場した名作「インヂュニア SL」のデザインをベースに、現代的に再設計されたモデルだ。
「主張しすぎないけれど、ちゃんとつくられている感じが伝わってくる。ラグ、ブレスが高い精度で仕上げられていて、フィット感がとてもよかった」
ベゼルを固定する5つのネジ、一体型ブレスレット、グリッドパターンの文字盤。巨匠ジェラルド・ジェンタが手掛けた、どれも“インヂュニアらしさ”を象徴する要素だが、主張しないデザインの中に、手の込んだ仕事ぶりがしっかりと感じ取れる。
「35㎜というサイズ感もちょうどいい。時計が先に目に入るのではなく、ふと気づかれるくらいが、いまの自分にはしっくりきます」
静かに主張する上質。役を通して他者を生きる俳優だからこそ、この時計の奥ゆかしさに共鳴するのかもしれない。

IWCの2本の新作腕時計に対して、着用する人物像を即座にイメージし、言葉にした松坂。彼の俳優としてのクレバーさと、腕時計への審美眼を同時に感じる瞬間だった。
俳優として、日々の暮らしをともに歩む存在として、腕時計は松坂桃李にとって欠かせない存在なのだろう。

松坂が着用した「インヂュニア・オートマティック 35」以外にも、IWCが得意とする素材や機構を採用した新作が登場し、「インヂュニア」コレクションの幅は大きく広がった。左: インヂュニア・パーペチュアル・カレンダー 41 /IWCの得意分野であるパーペチュアルカレンダーを「インヂュニア」に初搭載。リューズのみですべてのカレンダーを操作することができる。自動巻き、SSケース&ブレスレット、ケース径41.6㎜、パワーリザーブ約60時間、シースルーバック、10気圧防水。¥5,625,400 中: インヂュニア・オートマティック 42 /ケースからブレスレットまで、軽さと耐久性を備えたブラックセラミックを使用。サテンとポリッシュで磨き分けた仕上げも美しい。自動巻き、セラミックケース&ブレスレット、ケース径42㎜、パワーリザーブ約60時間、シースルーバック、10気圧防水。¥2,961,200 右: インヂュニア・オートマティック 40 /既存の40㎜モデルに18Kレッドゴールドを初採用し、唯一無二の高級感を放つ。自動巻き、18KRGケース&ブレスレット、ケース径40㎜、パワーリザーブ約120時間、シースルーバック、10気圧防水。¥7,076,300
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