焚き続けることから生まれる豊かな表情。陶芸家・小野象平の個展で体感する「原点回帰」な器づくり

  • 文:Pen編集部
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1200×1640_スマホ用.jpg原点回帰」をテーマに土本来の特性「土味(つちあじ)」を感じる、600点の作品が本展に集結。

陶芸家・小野象平の個展が、表参道のCIBONEにて2月2日まで開催している。同じく陶芸家の小野哲平を父に持つ彼は、今回の個展に寄せて「原点回帰」という言葉を口にした。

展示では、「釉薬の原料を一からつくる」という彼の器づくりにフォーカスを当てている。化粧土の上から酸化鉄を大量に加えた灰釉薬をかけてから、高温で焚き上げた『黒化粧』が見どころのひとつだ。1250℃の無酸素状態で8時間から10時間ほど焚き上げことで、ガラス質が流れ出し、豊かな鉄模様のグラデーションを可能とする。本展のポスターとしても印象的な『青灰釉』は、小野が自ら掘った高知の赤土に、杉などの灰と鉄分が融合する事で生み出された複雑かつ豊かな表情に思わずうっとりする。

今回の展示では、その力強い作風に新たな魅力を加えるであろう初披露作品も含まれている。『白化粧鬼板壷』は、表面を覆うような土味を感じる表情と、うっすらと緑や青みを感じる白化粧のコントラストが特徴的だ。独特のテクスチャーが魅力的な『黒志野のリム皿』は、青と金色、マットとメタリックの結晶が何層にも重なることで、角度ごとに個性的な輝きを放つ。陶芸独特の質感や艶など、その美しさをぜひ実際に確かめてほしい。

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『白化粧鬼板壷』
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『青灰釉』
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『黒志野のリム皿』

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『Kaiki-Borderless 2025-SHOHEI ONO』

開催期間:開催中~2月2日(日)
開催場所:CIBONE (GYRE B1F)
東京都渋谷区神宮前 5-10-1 GYRE B1F
開廊時間:11時~20時
入場料:無料

www.cibone.com